脳卒中

脳卒中は脳血管の異常によっていくつかのタイプに分かれます。

脳卒中とは、脳の血管が詰まったり破れたりすることによって、脳が障害を受ける病気です。脳卒中を発症すると、障害を受けた脳が司っていた身体機能や言語機能が失われたり、場合によっては死に至ることもあります。
脳卒中には、脳の血管が詰まる「脳梗塞」、破れる「脳出血」や「くも膜下出血」があります。

脳梗塞

「脳梗塞」とは、何らかの原因で脳の動脈が閉塞し、血液がいかなくなって脳が壊死してしまう病気です。 片方の手足の麻痺やしびれ、呂律が回らない、言葉が出てこない、視野が欠ける、めまい、意識障害など様々な症状が突然出現し、程度は様々ですが多くの方が後遺症を残します。

脳出血

脳出血とは、脳の細い血管が裂けて、脳の組織の中に直接出血することです。 前触れ症状はほとんどなく、ある日突然に起こります。 出血した血液は血腫という塊をつくり、これによって直接的に脳細胞を破壊したり、周囲の脳組織を圧迫したりして、様々な脳の働きを傷害します。

くも膜下出血

くも膜下出血とは 脳は3層の膜によって守られています。 外側から、硬膜・くも膜・軟膜です。 このうち、くも膜と軟膜の間にあるくも膜下腔という隙間において、動脈が破裂し、血液が急激にくも膜下腔に流入した状態のことをくも膜下出血と言います。

 

脳卒中のよくある質問

Q.脳卒中の症状が人によって違うのはなぜ?

A.脳とは、生命を維持し、すべての活動をコントロールしている器官です。これらの脳の働きは、部位によって細かく役割が分担されています。そのため、脳卒中がおきると、脳細胞がダメージを受けた部位によって、さまざまな症状が現れることになります。
脳の仕組を見てみましょう。脳は大きく分けると、大脳、小脳、脳幹の三つになります。大脳は右大脳半球(右脳)と左大脳半球(左脳)から成り、さらに前頭葉、頭頂葉、後頭葉、側頭葉の四つのパートに分けることができます。
たとえば、左脳は右半身を、右脳は左半身を支配しています。そのため、左脳に障害がおきると、右半身に麻痺が生じます。また、言語中枢は主に左脳にあるため、言語障害を伴うケースが多く見られます。さらに、意識、呼吸、血圧などの生命活動をコントロールしている脳幹が損傷すると、昏睡状態に陥ったり、死亡したりすることもあります。脳卒中でダメージを受けた場所が違えば、症状もまったく違ったものになるのです。

Q.若い人でも脳卒中になることがある?

A.脳卒中というと高齢の人に多い病気のように思われがちですが、けっして若い人に無縁の病気ではありません。最近では、30代~50代にも脳卒中が増えています。
脳卒中を招く最大の原因は、血管の老化によっておこる動脈硬化です。しかし、食生活の欧米化などによって、高血圧症や脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病が多くなり、若い人でも動脈硬化が進行して脳卒中をおこす人が増加しています。
また、若い世代に多い脳卒中としては、動脈解離によっておこるタイプもあります。動脈解離とは、脳動脈の壁の一部が裂けてしまうことで、主に後頭部を走る椎骨動脈に見られます。血管壁が裂けて血液が入り込むと血管が狭まるため、脳梗塞の原因になります。また、血管が完全に裂けて、くも膜下出血をおこすこともあります。原因がよくわからないケースが多いのですが、首の外傷のほか、スポーツなどでの首の回転でおこることもあります。
動脈解離がおこると、首の後ろから後頭部にかけて突然激しい痛みが生じます。その後、脳卒中を引きおこす可能性が高いので、原因不明の突然の頭痛が生じたときには早めに受診するようにしましょう。

Q.脳卒中のリスクが高いのはどんな人?

A.脳卒中をおこす危険因子としては、まず年齢があげられます。60歳以上になると、老化で動脈が硬くなり、コレステロールなどの影響で動脈硬化が進んで、血管が詰まりやすくなります。同時にもろくなるので破れやすくなってしまうのです。
高血圧や脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病も、動脈硬化を促進して脳卒中をおこす危険因子の一つ。塩分や脂肪分の多い食事が好きな人、肥満の人、運動嫌いの人は要注意です。
生活習慣病を防ぐためには、定期的な健診が欠かせません。脳卒中の危険因子には不整脈や心臓弁膜症などの心臓病もあげられるので、異常を早く見つけるためにも健診はきちんと受けることが大切です。
また、お酒の飲みすぎは肥満や生活習慣病を招き、タバコは高血圧や動脈硬化を促進させます。ストレスが多い人も要注意。ストレスは高血圧や動脈硬化を招くだけでなく、血管を収縮させるので脳出血などを引きおこす恐れがあります。
危険因子の数が多くなればなるほど、脳卒中のリスクが高くなります。危険因子は年齢を除けば、心がけしだいで減らすことのできるものばかりです。思い当たる項目のある人は、今日から生活習慣の改善に取り組みましょう。

Q.高血圧だとなぜリスクが高くなる?

A.脳卒中を招く最大の危険因子の一つが、高血圧症です。血圧が正常な人と比べると、発症の危険度は4倍~6倍になるといわれています。
血圧が高いと血管壁が圧力を受け続けることで硬く傷つきやすくなるため、動脈硬化を促進させます。
その結果、血管が狭まって血液の流れが悪くなり、脳梗塞を引きおこします。また、もろくなった血管が破裂して、脳出血を招く危険もあります。
脳卒中を防ぐためには、血圧を管理することが最も重要なポイントです。軽症・中等症の高血圧症の中年層を対象に臨床試験を行ったところ、最大血圧を10mmHg、最小血圧を5、6mmHg下げた場合、脳卒中の発症率を約40%抑えることができたという報告もあります。
血圧が高い人は、とくに塩分のとりすぎなど生活習慣に気をつけ、医師に降圧薬を処方されている場合はきちんと服用して、脳卒中のリスクを減らしましょう。

Q.コレステロール値が高い人は要注意?

A.コレステロールは悪者というイメージがありますが、なかには体を守る働きをしてくれるものもあります。血液中の脂質のうち、多すぎると脳卒中の危険因子になるのはLDL コレステロールと中性脂肪(トリグリセライド)で、逆にHDL コレステロールは少なくなりすぎると脳卒中のリスクが高くなります。これらのケースは脂質異常症と呼ばれます。
LDL コレステロールは悪玉コレステロールと呼ばれ、多くなりすぎると血管壁に入り込んで、動脈硬化を促進させる原因になります。一方、善玉コレステロールと呼ばれるのがHDL コレステロールで、細胞から余分なコレステロールを回収して、動脈硬化を予防する働きをもっています。中性脂肪はエネルギー源の一つですが、多くなりすぎると悪玉コレステロールの危険度を高めて、動脈硬化を進行させる可能性があります。
健診で脂質異常症と診断されたときは、食事や運動などの生活習慣を見直して、基準値に近づけるように努めましょう。

Q.糖尿病の人は脳卒中をおこしやすい?

A.糖尿病とは、膵臓(すいぞう)で作られるインスリンの量が不十分であったり、その働きが悪くなったりして、血液中に余分な糖が増えてしまう病気です。糖が過剰になると血液は粘度の高いドロドロした状態になるため、血管壁に負担がかかります。その結果、動脈硬化を促進させ、脳卒中がおこりやすくなるのです。糖尿病の人は正常な血糖値の人に比べると、脳卒中になるリスクが2倍~3倍になると見られています。
糖尿病の原因としては、体質的なものや年齢などもかかわっていますが、多くの場合は食べすぎや高脂肪・高カロリーの食事、運動不足などの生活習慣があげられます。こうした生活習慣は、肥満や脂質異常症、高血圧症などの原因でもあります。そのため、糖尿病の場合、こうした合併症をもっていることが多く、脳卒中の危険度をさらに押し上げる結果となっています。
糖尿病の人は、食事や運動に気をつけて血糖値をコントロールすることが必要です。生活習慣の改善は糖尿病だけでなく、合併症の予防にも有効なので、脳卒中のリスクを大きく減らすことができます。

Q.脳卒中の後遺症にはどんなものがある?

A.脳卒中をおこすと、ダメージを受けた脳の部位によって、さまざまな症状が現れます。こうした症状は治療やリハビリで完全に治すことは難しく、程度は違っても、後遺症として残ってしまうことが多いのです。
代表的な後遺症は、体が麻痺(まひ)する運動障害と、しびれや痛みを感じる感覚障害です。そのほかにも、飲み込みがうまくいかなくなる嚥下(えんげ)障害や言語障害、視覚障害、さらには人格の変化や認知症など、多様な後遺症があります。

Q.脳卒中は再発率が高い?

A.脳卒中という病気の怖いところは、再発しやすいことです。一度発症したら、たとえ後遺症もなく回復したとしても、けっして安心はできません。
次のグラフは、脳卒中の種類別に再発率を10年にわたって追跡したデータです。それによると、1年以内に再発した人は、脳梗塞の場合が約10人に1人、脳出血では約4人に1人、くも膜下出血では約3人に1人という高い割合に達しています。いずれの場合も年数がたつにしたがって再発率が高くなり、10年以内では脳梗塞と脳出血が約半数、くも膜下出血は70%という高い割合です。
また、脳梗塞の中でも、病気の種類によって再発率が違うことがわかりました。最も再発率が高いのは心原性脳塞栓症で、最も低いラクナ梗塞と比べると大きな開きがあります。
とくに脳梗塞の場合、発作を繰り返すたびに後遺症が重くなっていくのが特徴の一つです。一度目は軽い後遺症ですんでも、二度目の発作で体が不自由になり、寝たきりになるというケースもよく見られます。
脳卒中をおこしたことのある人は、また病気に狙われないように、危険因子となる病気をきちんと治療し、生活習慣の改善を心がけることが大切です。

Q.脳卒中の再発を予防することは可能?

A.脳卒中は再発率の高い病気ですが、生活習慣を改善し、危険因子をコントロールすることで、再発リスクを大きく低下させることができます。

Q.脳卒中がおこりやすい季節は?

A.冬は寒さの刺激によって血圧があがるので、脳卒中がおこりやすい季節です。とくに暖房が効いたところから寒いところに移動すると、温度差によって血管が収縮し、血圧が急激に上昇するため、発作がおこりやすくなります。外出するときはマフラーや手袋などを身につけて寒さから身を守り、室内でも寒い廊下やトイレなどに出るときはガウンをはおったりするなどの配慮が必要です。
冬に次いで、夏も脳卒中をおこしやすい季節です。汗を多量にかいて水分不足になると、血液の濃度が高くなって、血液が固まりやすくなり、脳梗塞のリスクが高くなります。こまめに水分を補給することが大切です。また、冬と同じく、冷房の効いたところと暑いところの温度差も問題になります。
暑い戸外から室内に入り、クーラーに当たって急に体を冷やすのは危険です。血圧が急上昇しないように、体を少しずつ冷えた室内に慣らしていくように気をつけましょう。

 

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