糖尿病

糖尿病について

糖尿病は、インスリンというホルモンの不足や作用低下が原因で、血糖値の上昇を抑える働き(耐糖能)が低下してしまうため、高血糖が慢性的に続く病気です。
重症になると血液中の糖が尿にあふれ出ることで甘い匂いがするのためその名がありますが、診断は尿糖ではなく空腹時血糖や75gOGTT(75g経口ブドウ糖負荷試験)などの血液検査によって行われます。
1型糖尿病と2型糖尿病があります。1型はインスリン依存型とも呼ばれ、自己免疫疾患などが原因でインスリン分泌細胞が破壊されるもので、インスリンの自己注射が必要です。一方で2型はインスリン非依存型と呼ばれ、遺伝的要因に過食や運動不足などの生活習慣が重なって発症します。その他の特定の疾患や機序(メカニズム)によるものや妊娠糖尿病がありますが、多くは2型であり、日本ではその疑いがある人(可能性を否定できない人を含む)は成人の6人に1人、約1870万人にのぼっています。
糖尿病の恐さは、自覚症状のないままに重篤な合併症が進展することで、微小な血管の障害である網膜症・腎症・神経障害の三大合併症のほか、より大きな血管の動脈硬化が進行して心臓病や脳卒中のリスクも高まります。
生活習慣の改善によって糖尿病を発症する手前で防ぐ1次予防、たとえ発症してもあきらめずに血糖値を良好にコントロールして健康に生活する2次予防、さらに合併症の発症をくい止める3次予防がいずれも重要になってきます。

血糖とインスリンについて

私たちが食事をすると、栄養素の一部は糖となって腸から吸収されます。寝ている間など、食事をしない時間が続くときには、主に肝臓により糖が作られています。糖はからだにとって大切であり、食事をしたときも、食べていないときも、常に血液中を流れています。糖は血液の流れに乗って、からだのあらゆる臓器や組織へめぐります。
血液中をただよい、筋肉などの細胞までたどり着いた糖は、同じく血液中に流れていたインスリンの助けを借りて細胞に取り込まれます。取り込まれた糖は、私たちのからだが活動するためのエネルギーの源となります。
インスリンは細胞のドアを開ける鍵のような役割を果たしています。インスリンの働きによって、細胞の前まで到着した糖はすみやかに細胞の中に入り、糖は血液中にあふれることなく、血液中の糖の濃度は一定の範囲におさまっています。

「インスリンが十分に働かない」ってどういうこと?

糖尿病になるとインスリンが十分に働かず、血糖をうまく細胞に取り込めなくなるため、血液中に糖があふれてしまいます。これには、2つの原因があります。
インスリン分泌低下:膵臓の機能の低下により、十分なインスリンを作れなくなってしまう状態。細胞のドアを開けるための鍵が不足しているので、糖が中に入れず、血液中にあふれてしまいます。
インスリン抵抗性:インスリンは十分な量が作られているけれども、効果を発揮できない状態。運動不足や食べ過ぎが原因で肥満になると、インスリンが働きにくくなります。鍵であるインスリンがたくさんあっても、細胞のドアのたてつけが悪く、開けることができません。この場合も、血液中に糖があふれてしまいます。
糖尿病ではこの2つが影響して、血糖値が高くなってしまいます。

糖尿病の主な症状

2型糖尿病は、初期の段階では自覚症状がまったくないことが多く、症状があらわれるとしても、非常にゆっくり、少しづつあらわれます。
・疲労感
・皮膚が乾燥して痒い
・手足の感覚が低下する、または、チクチク指すような痛みがある
・感染症によくかかる
・頻尿
・目がかすむ
・性機能の問題(ED)
・切り傷やその他の皮膚の傷が治りにくい
・空腹感やのどの渇きがひどくなる

2型糖尿病の原因

2型糖尿病は、次のような人に起こりやすいことがわかっています。
・40歳以上の人
・太りすぎの人
・家族に糖尿病の患者がいる
・著しい運動不足

糖尿病の合併症

糖尿病により血糖値が高い状態が長く続くと、合併症が起こる可能性が高くなります。治療をきちんと行い血糖コントロールをすることで、新たな合併症が起こるのを防ぎ、また、起きてしまった合併症の進行を抑えることができます。

細小血管症
細い血管にみられる糖尿病に特徴的な合併症です。「糖尿病の3大合併症」と呼ばれる病気を指します。
<糖尿病網膜症>
網膜の血管が障害され、目のかすみ、視力低下などがあらわれ、症状が進むと失明してしまうこともあります。少なくとも年に一度は眼科の検査を受けましょう。
<糖尿病腎症>
糖尿病により腎臓の働きが悪くなると、血圧が上昇する、尿中にたん白が出る、体がむくむなどの症状があらわれます。さらに症状が進むと、血液中に老廃物がたまり、腎不全や尿毒症など生命にかかわる重篤な症状を引き起こします。このように慢性に経過する腎臓病のことを慢性腎臓病(CKD)といいます。なお、腎不全になってしまうと、人工透析を受ける必要が出てきます。透析導入の原因の第1位は糖尿病腎症です。
<糖尿病神経障害>
神経と神経のまわりの細い血管が障害され、信号がすばやく体のすみずみまで伝達するという働きが低下します。手足のしびれ、ほてり、痛みなどがあらわれます。一方、足の感覚が麻痺して、傷があったとしても気づかずに放置してしまい、足の潰瘍や壊疽になることもあります。足は清潔に保ち、常に注意を払うようにしましょう。

大血管病
大きな血管の病気である動脈硬化により起こる合併症で、脳卒中や、心筋梗塞、足の壊疽などがあります。動脈硬化は糖尿病があると進行しやすくなり、合併症による深刻な状況を引き起こす原因になります。また、脂質異常症、高血圧、喫煙、肥満、加齢なども動脈硬化の危険因子ですので、血圧やコレステロール値などの検査も定期的に受け、血糖のコントロールに加えて、コレステロール値や血圧、肥満の改善、禁煙に取り組みましょう。
<脳卒中>
脳卒中にはいくつかのタイプがありますが、代表的なものは脳梗塞と脳出血です。脳の血管が詰まるタイプの代表が脳梗塞で、脳の血管が破れるタイプの代表が脳出血です。そのうち、糖尿病患者さんに多いのは脳梗塞です。手足の麻痺や言葉が急に出なくなる、ものが二重に見えるなどの症状がみられ、重症の場合は生命に関わります。また、血管が完全に詰まっていなくても血流が悪くなり、頭が重い、物忘れがひどい、怒りっぽいなどの症状があらわれますので、これらの症状がある場合は、ただちに医師の診察を受けましょう。脳卒中は命にかかわるだけでなく、手足の麻痺や言語障害などの後遺症が残ることもあり、患者さんはもちろん、ご家族の生活にも影響を及ぼします。
<心筋梗塞>
心臓の筋肉(心筋)に栄養や酸素を送る血管(冠動脈)の動脈硬化によって引き起こされる病気で、心臓の働きが著しく低下し、生命にかかわることがあります。糖尿病患者さんは冠動脈の疾患を起こす危険度は高いとされています。
症状としては、胸が締めつけられるような強い痛みがあらわれますが、糖尿病患者さんでははっきりした症状がみられないことがあるため、心電図による検査を定期的に受けましょう。また、息切れしやすい、脈が途切れる、体がむくむなどの症状は、心筋梗塞の前触れの可能性があります。
<末梢動脈性疾患>
足の血管の動脈硬化により血流が悪化することで引き起こされます。足やふくらはぎが痛くなり運動ができない、休みながらでないと歩けない(間欠性跛行(かんけつせいはこう))などの症状があらわれます。運動ができなくなり、生活の範囲も制限されてしまいます。さらに症状が進むと、潰瘍や壊疽を起こしてしまい、足を切断しなければならない場合もあります。

 

当院の糖尿病治療について

当院では、糖尿病に対して運動療法、食事療法、内服薬やインスリンの注射による薬物療法を行っています。
膵臓の移植が必要な場合もございますので、その場合は、信頼のおける大規模な医療機関と連携して治療を行います。

 

糖尿病のよくある質問

Q.糖尿病の患者数について教えてください。

A. 統計にはかなりばらつきがありますが、よく使われる数字で、糖尿病患者 600万人(ちゃんと受診しているのは200万人)、その予備軍 1200万人~1500万人、と言われています。 ちなみに、公式な統計では、厚生労働省発表の平成11年の患者数が次のホームページに出ています。http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kanja/kanja99/5.html これによると、糖尿病患者総数 212万人、 男性 112万人、女性 100万人となっていますが、これはあくまで受診数を元に割り出した数で、受診せずに放置している人を含めると、約3倍に増えると推測されています。

Q.黄色人種は糖尿病になりやすいと聴いたんですが、本当ですか?

A.白人と同じような食事を摂ると、高率に2型糖尿病を発症することは、多くの研究結果からほぼ証明されています。高度成長期以降に日本人に糖尿病が激増したのも、食生活の欧米化が一因であると考えられています。「食生活欧米化」の中でも、脂質摂取率 が増加していることが一番の要因である、という説が有力です。

Q.父が糖尿病で、遺伝も関係するとのことなので、心配です。

A.糖尿病そのものが遺伝するわけではありませんが、たしかに糖尿病になりやすい体質は遺伝する場合があります。かなり心配されているようですが、通常は年に1~2回、血糖値や検尿の検査を受けていれば充分でしょう。ただし、糖尿病になってしまっていても、ごく初期には、空腹時に検査をすると血糖や尿糖が正常の場合があり得ます。だから、糖尿病の早期発見のためには、わざと食後に健診を受けることをおすすめします。また、健診の結果で要注意などの指示が出たら、絶対にそのままにせず、すぐに再検査や精密検査(ブドウ糖負荷試験など)を受けることが大切です。

Q.インスリン注射をしている糖尿病患者さんはインスリン依存状態なのでしょうか 。

A.ちがいます。日本でインスリン治療を受けている患者さんの多くは、 インスリン療法を受けなくても生存は可能だが 食事療法や経口糖尿病薬で良好なコントロールが達成できないために インスリン療法を受けることになったもので、 この様な方は、インスリン依存の定義には含まれません。 インスリン注射をしている患者さんすべてがインスリン依存状態(1型糖尿病、インスリン依存型糖尿病)とは限らないのです。

Q.体重増加、のどの渇きが気になります。病院で検査をうけるべきでしょうか。

A. 通常の健診では、軽症の糖尿病は見逃されてしまう可能性が十分あります。3年前の人間ドックで「境界型糖尿病に近い」と指摘されたのは、恐らくもう少し詳しい検査で、糖尿病になりやすい体質が確認されたのだろうと思います。最近の喉の渇きなどの症状からも、是非近いうちに、糖尿病に関する精密検査を受けられた方が良いと思います。

Q.尿に甘いにおいがしますが、検査を受けた方がいいでしょうか。

A.「甘いにおい」が何からきているのか、ここではわかりかねますが、体調に不安を感じたときには、すぐに受診して、医師に相談されたほうがいいと思います。 最初から専門医に拘る必要はありません。(何処が悪いのかもまだはっきりしませんから)まずは、安心して相談できる内科医を探して下さい。もちろん、ご自分でも気付いておられるように、現在の飲酒習慣が好ましくないことは間違いありませんから、なんとか改善するよう心がけて下さい。

Q.肥満でもないのに、尿糖が出ました。糖尿病でしょうか。

A.糖尿病かどうかの診断には、血糖値の測定が不可欠です。糖尿病ではない(つまり血糖値が上昇していない)のに、尿に糖が出る、腎性糖尿という状態もあります。尿糖だけでは、この様な状態との区別がつきません。逆に、糖尿病でも、血糖値の上昇が軽度の場合など、尿検査のタイミングによっては尿糖が出ない場合もあり得ますので、こちらも注意が必要です。また、糖尿病と肥満はよく結びつけて考えられていますが、必ずしも肥満でなくても、糖尿病は発症することがあります。むしろ、日本人には肥満でない糖尿病患者さんの割合がかなり多いと考えられています。

Q.足の裏のジンジンした痛みは糖尿病に関係ありますか?

A.糖尿病から、足のしびれなどが起こるのは、糖尿病の合併症の一つである糖尿病性神経障害を発症することが主な原因です。合併症が起こるまでには、糖尿病になってから最低でも数年以上かかりますから、糖尿病の初期段階でご相談のような症状が起こることは考えにくいです。しかし、それ以外の異常がないかどうか、また、数年以上前から糖尿病が隠れて進行していた可能性はないのか、など、確認しなければいけない点はいくつかありますので、一度受診された方がいいとおもいます。

Q.低血糖時にブドウ糖を摂る理由は?

A.血糖値をコントロールするホルモンとして、血糖値を下げるインスリンが よく知られていますが、反対に血糖値を上げるホルモン(グルカゴンなど) もあります。糖尿病でないひとの体の中では、食べ物の摂取や血糖値の変動に 応じて、これらのホルモンの分泌がきめ細かく調節されています。例えば・・・
食事を摂って血糖値が上がりそうになる → インスリンが増えて血糖を下げる
食欲がなくて食事量が少なかった → インスリンは少しだけしか出ない
忙しくて食事を抜いてしまった → インスリンは殆ど出ず、逆に血糖値を上げる作用のホルモンが増える
このきめ細かい自動コントロールの機能に狂いが生じて、高血糖が続く ようになった状態が糖尿病で、その治療のために、体内のインスリンを 増やす飲み薬やインスリン注射を使用することがあります。薬や注射によって増やされたインスリンは、自動調節の一環として分泌 されるもともとのインスリンとは違い、上記のようなきめ細かいコントロール がききません。
このため、毎日同じように薬やインスリンを使っていても、日々の体調や 運動量、食事時間のズレなど、さまざまな要因で血糖値が上がりすぎたり 下がりすぎたりする恐れが出てきます。この「下がりすぎ」を低血糖といいますが、低血糖状態になると体はたちまちおかしくなってしまいます。これを改善するためには糖分を補給する しかないのです。

Q.インスリン治療を開始したら、手足のしびれと痛みが出現しました。

A.長いことコントロール不良で放置していた方が、治療を強化した時に、疼痛を伴う末梢神経症状を自覚することが時々あります。「有痛性治療後神経障害」と呼ばれ、なかなかやっかいな症状です。おたずねの症状がこれに当てはまるのかどうかは、痛みの原因として他の異常がないかということも含めて、よく検討する必要がありますので、ここで断定することは出来ません。主治医とよく相談なさって下さい。有痛性治療後神経障害の原因は様々なことが考えられますが、はっきりとはわかっていません。これが現れると、「治療したらかえって辛くなった」ように感じるため、治療の意欲をそがれやすいのですが、根気よく(数ヶ月~場合によっては1年以上)治療を続けていると、症状が和らいでくることが多いようです。その他の合併症の心配もありますから、くじけずにコントロールを続ける必要があります。また、対症療法としては、一般的な鎮痛薬は効果が少ない上に、胃腸障害などの副作用を起こしやすいので、あまり使われませんが、それ以外のいくつかの薬剤が有効である場合があることが報告されていますので、糖尿病の専門医によく相談なさって下さい。

Q.糖尿病性腎症が悪化して透析を受けるようになると、石灰化が激しくなるというのはどうしてですか?

A. 石灰化というのはカルシウムが不要な箇所に異常に沈着した状態を指します。生体内でカルシウムの代謝をコントロールする鍵を握っている、ビタミンDという物質があります。ビタミンDが有効に作用するためには、体内で活性型ビタミンDという形に変換される必要がありますが、この変換に腎臓が大きな役割を果たしています。透析(腎不全)の患者さんでは、この働きがなくなるため、カルシウムの代謝異常がおこることが石灰化の一番の原因と言えます。

Q.インスリンを一度打ったら一生続けるんですか。

A.一般的にはその様に思われている方が多いですが、実際にはいろいろな場合があり得ます。1型糖尿病(インスリン依存状態)の場合には、インスリンによる治療が必須となりますから、一生やめることが出来ないと考えていいでしょう。 2型糖尿病(インスリン非依存状態)でもコントロールの都合によって、インスリンを使用する場合がありますが、この場合にはコントロールの改善と共に代謝機能が全般的に安定してきて、インスリン注射が不要となる場合も少なくありません。大切なことは、次の2点だと思います。 1)インスリン注射を自己判断でやめることは非常に危険ですので、絶対にしないでください。 2)インスリンが必要な状態に体が陥っているのに、インスリン注射をしないことは、百害あって一利なしです。むしろ、経験的には早めにインスリンを使い始めた方が、体が元気を取り戻しやすく、またインスリンをやめられる可能性が高いように思います。

 

内科の疾患

当院で掲載している疾患に関する説明は、患者さん並びにご家族の皆様に参考となる情報提供であり、全ての疾患の検査や治療を行えるわけではありません。

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