動脈硬化症

動脈硬化症とは?

動脈硬化症とは、文字どおり動脈が硬くなる状態のことです。この過程は加齢によるところもありますが、個人差が大きく、とくに血液中のコレステロールが強く影響しています。なかでもLDL−コレステロール(悪玉コレステロール)が多く、HDL-コレステロール(善玉コレステロール)が少ないと動脈硬化が進みやすいことがわかっています。動脈硬化になると、血管や心臓に大きな負担がかかって心臓の機能が低下したり、血管が破れて生命にもかかわる大きな病気を発症するリスクが高くなります。動脈硬化には、粥状動脈硬化(アテローム性動脈硬化)、中膜硬化(メンケベルク型動脈硬化)、細動脈硬化がありますが、一般的に動脈硬化といえば、粥状動脈硬化のことを指します。
生活習慣病や肥満などにより、血液中のコレステロールが増加したり、高血圧や高血糖の状態が続くことで、血管壁に負担がかかります。この状態が長く続くと、血管内にLDL-コレステロールや細胞が蓄積していきます。これを粥腫(じゅくしゅ)といいます。粥腫が蓄積することで血管が狭くなったり、粥腫が剥がれたりすることで血液の流れを塞いでしまうことにもなります。動脈硬化を起こした血管は、ちょうど古い水道管が汚れて詰まったり、さびが剥がれやすくなるのと同じと考えるとわかりやすいでしょう。血管が狭くなると必要な酸素、栄養が全身に行き渡りにくくなり、さまざまな臓器や組織に影響が及びます。さらに血管が詰まってしまうと、臓器や組織に血液が流れず、その場所が壊死して狭心症や心筋梗塞、脳梗塞などの心臓や血管の病気を発症しやすくなります。また、硬くなった血管はもろく、破れやすいため、脳出血やクモ膜下出血の発症リスクが高まります。

血管の役割と構造

血管には大きくわけて動脈、静脈、細小動脈、毛細血管の4つがあります。このうち動脈は、心臓から血液を全身に送り届け、酸素や栄養分を運搬する役割を担っています。動脈は、内膜、中膜、外膜の3層からなるパイプのような構造で、心臓から送り出された血液は、約20秒で全身に届けられます。心臓から勢いよく押し出される血液を滞りなく全身に届けるために、動脈は強く、柔軟性があります。動脈の柔軟性を保つうえで重要な働きをしているのが、動脈の内膜の表面にある血管内皮細胞です。血管内皮細胞は、血管が収縮したり拡張したりする機能を維持する物質を作り出しています。

 

動脈硬化症のよくある質問

Q.動脈硬化の有無や程度を知る方法は?

A.頸動脈エコー検査は、動脈硬化の有無や程度を知るのに適しています。頸動脈のプラークが画像で直接観察でき、それが冠動脈など全身の血管の状態を反映すると考えられるからです。
これに対し、CAVIは全身の血管が硬くなっているかなど、いわゆる「血管年齢」がわかる検査です。ABIは脚の動脈が詰まっていないかを調べる検査です。
この2つは、頸動脈エコーと違ってプラークを直接観察する検査ではありませんが、動脈硬化の状態を推測することはできます。いずれの検査にも特長があり、患者さん個々の必要に応じて選択されます。

Q.家族性高コレステロール血症は薬をのみ続けるべき?

A.頸動脈エコーは頸動脈にできたプラークを画像で発見する検査です。頸動脈にプラークがあると、全身の他の血管にも動脈硬化が隠れている可能性があり、心筋梗塞などのリスクが高まります。
片側に2ミリのプラークということですが、この方は家族性高コレステロール血症が疑われているので、特に注意しなければなりません。処方されている薬は指示に従って必ず続けてください。悪玉LDLコレステロールを改善する薬は、プラークの量を実際に減らすことがあります。
もちろん、動脈硬化の進行や心筋梗塞を防ぐ効果は、プラークが減ったかどうかに関係なく認められています。

Q.心筋梗塞の予防 動脈硬化のリスクを調べる検査は?

A.頸動脈に動脈硬化がなくても、心臓を養う冠動脈に動脈硬化が起こることはありえます。逆に、冠動脈に動脈硬化がなくても、頸動脈の動脈硬化が進んでいることもありえます。もちろん頸動脈エコー検査から冠動脈の動脈硬化を推定できますが、この検査だけで全身の動脈を完全に評価できるわけではないのです。
なお、心筋梗塞を予防するには、動脈硬化のリスクがどれくらい高いのかを知る必要があります。それには日本動脈硬化学会のホームページにある冠動脈疾患発症予測ツール「これりすくん」が役立ちます。動脈硬化のリスクが高いとわかったら、循環器内科などで問診や採血、運動負荷心電図、心臓超音波などの検査をしてもらうとよいでしょう。

Q.善玉HDLコレステロールが100mg/dL なぜ良くない?対処法は?

A.HDLコレステロールの値が低下すると、動脈硬化やそれによる心筋梗塞・狭心症などが起こりやすく、そのことから、HDLコレステロールは動脈硬化を防ぐ善玉コレステロールと言われてきました。動脈に過剰にたまったコレステロールは、HDLによって引き抜かれます。そして、HDL自体がシャトルバスとなってコレステロールを肝臓へ直接運んだり、HDLからLDLなどの別のシャトルバスにコレステロールを転送して肝臓に運んだりして、最終的にはコレステロールが胆汁の中に排せつされます。これによって過剰なコレステロールが動脈にたまらないよう防御しているわけです。
このHDLから別のシャトルバスにコレステロールを転送する役割を担っているのが「コレステロールエステル転送たんぱく」(CETP)です。CETPが遺伝的に少ない(CETP欠損症)場合には、HDL内のコレステロールが別のシャトルバスにうまく転送されないため、HDL内にコレステロールがたまってHDLコレステロールの値が著しく上昇します。HDLコレステロールが100mg/dLを超える場合には、CETP欠損症を疑います。しかも最近では、HDLコレステロールが極端に高い場合は、むしろ動脈硬化による病気が増え総死亡率も高くなることが国内外で示されています。
CETPの測定は日常検査ではできません。そこで、HDLコレステロールが極端に高い方は、循環器内科の専門医に、動脈硬化がないかどうかを、頸(けい)動脈エコー、運動負荷心電図検査などで調べてもらいます。もし、動脈硬化があるとわかったら、動脈硬化の他の危険因子(糖尿病や高血圧)がないかを調べ、あればそれらの治療を行います。HDLコレステロールを下げる治療の効果はまだ証明されていませんが、LDLコレステロールは下げておいたほうがよいと思われます。

Q.悪玉LDLコレステロールが急に高くなりました。日常生活の改善のみでよい?

A.悪玉は140mg/dL以上で脂質異常症と診断されますが、この方の180はそれを大きく上回っています。真剣に対策をしてください。急に上昇したということなので、その理由も気になります。食生活が急に変わった、体重が大きく増えたといったことなら、それを見直すことが有効でしょう。
そのほか、甲状腺の病気や腎臓病が原因で悪玉が非常に高くなることもあります。また、女性は更年期から悪玉が上がりやすくなります。
これらについて医師に相談してみることをおすすめします。内分泌代謝内科、循環器内科などが専門になります。

Q.薬でLDLコレステロールが49に低下。低すぎて問題はない?

A.LDLコレステロールがかなり低い場合に何か問題があるかというご質問に関しては、問題がおこる可能性は低いと考えます。生まれつきLDLコレステロールがかなり低値の人がいますが、健康状態に問題は認められていません。またPCSK9阻害薬でLDLコレステロールを極度に下げた場合でも、現在のところ問題は認められていません。ただ、二次予防(冠動脈疾患をすでに起こしている場合)でなければ極度にLDLコレステロールを低下させる必要は少ないと考えます。
中性脂肪が高いことも動脈硬化の原因となります。その場合には、過食やアルコール多飲を避け、標準体重を保つことが重要です。また適度な運動でも中性脂肪は低下します。

 

内科の疾患

当院で掲載している疾患に関する説明は、患者さん並びにご家族の皆様に参考となる情報提供であり、全ての疾患の検査や治療を行えるわけではありません。

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