禁煙外来のご案内
意志の力だけに頼らず、“医療の力”で本気の禁煙を
喫煙は、肺がんや心筋梗塞だけでなく、実にさまざまな病気のリスクを高めることがわかっています。
肺がん・咽頭がん・膵がん・胃がん・膀胱がんなどのがん疾患はもちろん、慢性閉塞性肺疾患(COPD)や肺炎、狭心症、心筋梗塞、脳梗塞などの循環器疾患、さらにうつ病や糖尿病、認知症、骨粗しょう症、不妊症、妊娠合併症など、全身のあらゆる病気と関係しています。
禁煙することで、これらの病気にかかるリスクは確実に下がります。報告によると、喫煙を続けることで平均寿命が約10年短くなるともいわれています。一刻も早く禁煙することは、自分の命を守り、家族を守る行動です。
タバコがやめられないのは「意志が弱いから」ではありません
喫煙者の約70%が「ニコチン依存症」といわれています。タバコがやめられないのは、あなたの意志が弱いからではなく、ニコチンという依存性の高い物質によって脳がコントロールされている状態だからです。
このニコチン依存は医学的に「病気」とされており、適切な治療が必要です。禁煙外来は、意志だけに頼らず、医師の診察と禁煙補助薬の使用によって、無理のない禁煙を支援する治療プログラムです。
禁煙補助薬とは?
当院では、以下のような禁煙補助薬を用いて、タバコをやめやすくするサポートを行います。
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貼付薬(ニコチンパッチ):皮膚から少量ずつニコチンを吸収させ、離脱症状を軽減
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飲み薬(ニコチンを含まない):脳のニコチン受容体に作用して喫煙欲求を抑え、タバコをおいしいと感じにくくします
これらの薬を正しく使うことで、禁煙成功率は2〜3倍以上に上がるとされています。
保険診療で受けられる禁煙治療
一定の条件を満たす場合、禁煙治療は健康保険等の対象になります。
費用負担は3割負担の場合で、約13,000〜20,000円(12週間)程度。
タバコ代と比較しても経済的です。
保険適用の条件
以下4点をすべて満たす場合、保険診療が可能です。
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ニコチン依存症と診断される(TDSテストで5点以上)
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35歳以上は「1日の喫煙本数 × 喫煙年数」が200以上(※35歳未満は制限なし)
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1ヶ月以内に禁煙を始めたいと考えている
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禁煙治療への文書同意がある(問診票に記名)
※過去に禁煙治療を保険で受けたことがある場合、前回の初回診察から1年以上経過している必要があります。
禁煙外来の流れ(標準12週間プログラム)
禁煙外来では、12週間で計5回の診察を行います。
毎回、禁煙の状況を確認しながら、医師によるアドバイスや一酸化炭素濃度の測定、補助薬の処方を行います。
1回目:初診(禁煙開始前)
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TDS(ニコチン依存度)チェック
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呼気一酸化炭素濃度の測定
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これまでの喫煙歴・健康状態の確認
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禁煙開始日の設定と「禁煙宣言書」の記入
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禁煙補助薬の選択と説明
2回目:2週間後
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禁煙状況の確認
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一酸化炭素濃度の測定
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禁煙継続に関するアドバイスや補助薬の調整
3回目:4週間後
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離脱症状の有無や変化の確認
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禁煙による身体的な変化(咳や痰の減少、食欲増加、肌や胃の調子改善など)を共有
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継続のモチベーションをサポート
4回目:8週間後
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禁煙の継続状況の確認
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再喫煙のリスクを防ぐための対処法確認
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自分の努力を振り返りながら、今後も継続するポイントを整理
5回目:12週間後(最終診察)
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治療プログラムの終了
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最後の呼気一酸化炭素濃度測定
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今後の継続禁煙に向けたアドバイスと不安の解消
禁煙治療終了後も、私たちは引き続きあなたの禁煙継続を応援しています。
禁煙すると、こんなメリットがあります
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咳や痰が減った
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息切れしにくくなった
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食事がおいしく感じる
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肌の調子が良くなった
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衣服や部屋がタバコ臭くない
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火事の心配がなくなった
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タバコ代を節約できた
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「やればできる」という自信がついた
これらは、実際に禁煙を成功された多くの方が実感された“リアルな変化”です。
禁煙、もう一度チャレンジしてみませんか?
たとえ一度失敗してしまっても大丈夫です。
再喫煙してしまった方でも、1年以上経っていれば保険適用で再チャレンジが可能です。
再挑戦を全力で支援する体制を整えています。
内科の疾患
当院で掲載している疾患に関する説明は、患者さん並びにご家族の皆様に参考となる情報提供であり、全ての疾患の検査や治療を行えるわけではありません。