尋常性白斑

尋常性白斑

尋常性白斑は、皮膚の色が白く抜けてしまう病気の中でもっとも多く、人口の1%近くに見られます。痛みやかゆみはありませんが、まだら状に色が抜けてしまうため、多くの患者さまが精神的につらい思いをされています。

尋常性白斑の原因

尋常性白斑は単一の疾患ではなく、多種の原因によっておこっている色素脱出症の集まりと考えられます。症候群といってもよいと思います。原因については様々な仮説が提唱されてきましたが、有力なものとして1)自己免疫説、2)色素細胞自己破壊説、3)神経説、4)生化学説があります。

1)自己免疫説

尋常性白斑には自己免疫疾患の合併が多くみられます。その中では甲状腺疾患が最も多く、甲状腺機能亢進症、甲状腺機能低下症がみられます。その他、自己抗体性の悪性貧血、アジソン病、糖尿病、副甲状腺機能低下症、重症筋無力症、円形脱毛症が正常人より多くみられます。
皮膚の色を構成するメラニンは皮膚のメラノサイト(色素細胞)でつくられます。からだの免疫が変調をきたし、このメラノサイトに対する抗体が出現したり、メラノサイトを障害するT細胞が出現してメラノサイトが障害され、白斑ができているという説です。非分節型、汎発型ではこれが要因と考えられています。
尋常性白斑の治療にPUVA、ナローバンドUVB、エキシマライトなどの紫外線治療、ステロイド内服治療といった免疫を抑制する治療が有効であることは尋常性白斑が自己免疫性疾患の側面をもっていることを示唆しています。

2)色素細胞自己破壊説

メラノサイトでメラニンができる過程は複雑です。最初にチロシンというアミノ酸からたくさんの産生中間代謝物を経て最終的にメラニンが生成されます。この産生中間代謝物(ドーパ、ロイコドーパクロム、ドーパクロム、DHI、DHICA)は色素細胞にとって強い毒性をもっています。通常は色素細胞内でこれら産生中間代謝物を無毒化しているのですが、尋常性白斑の患者ではこの無毒化の過程に異変がおきていて、色素細胞自らが造る代謝中間産物によって自己破壊しているという可能性があります。

3)神経説

精神的なストレスから尋常性白斑が出現すること、ウイルス性脳炎や多発性硬化症の神経疾患で白斑がみられること、分節型では神経の分布領域に発汗の異常がみられることは自律神経バランスの破綻が関与していることを示唆します。末梢神経線維から分泌されている神経伝達物質がメラノサイトを障害していることが考えられています。
また自律神経バランスの異常によりカテコールアミンという物質が血液中に増加すると皮膚の血管の収縮がおこり、局所の活性酸素が増加して色素細胞を障害している可能性もいわれています。

4)生化学説

活性酸素は日光暴露、外傷、ストレス、血流障害などで体内に発生するもので、からだには有害で。我々のからだは常にこの有害な活性酸素をさまざまな抗酸化作用をもつ物質で中和、不活化しています。尋常性白斑の皮膚ではこの抗酸化物質の量がなんらかの原因で低下していて、活性酸素による酸化ストレスで色素細胞が障害を受けているという説があります。

尋常性白斑の治療法

外用薬

外用薬は効果が弱いものの、ほとんど副作用がありません。そのため軽症の方から重症の方まで用いられます。
ステロイド外用薬
ステロイドは炎症をおさえる作用があり、湿疹などに使われることが多い薬ですが、尋常性白斑にも有効と言われています。同じ部位に長期間塗り続けると、皮膚が薄くなったり毛細血管が拡張したりする副作用を生じることがあります。症状が落ち着いたら、外用を中止します。
プロトピック軟膏
ステロイドと同じように炎症をおさえる作用がある外用薬で、尋常性白斑への効果も証明されています。皮膚が薄くなったり毛細血管が拡張したりする副作用がほとんどないため、長期的に使用することができます。外用し始めの数日間、チクチクとした刺激感を生じることがあるのが欠点です。
活性型ビタミンD3外用薬
ステロイドほどではないものの、ビタミンD3外用薬も尋常性白斑に効果があると言われています。副作用をあまり気にすることなく使用できるのが利点です。
フロジン液
血流を改善する作用がある外用薬です。副作用が非常に少ないものの、効果も弱いため、ほかの治療と併用するのがおすすめです。

光線療法

尋常性白斑の治療には紫外線が有効であることが古くから知られており、近年ではナローバンドUVBやエキシマライトと呼ばれる非常に狭い波長の紫外線が用いられることが多くなっています。これまでの紫外線照射機と比べ、効果が優れており、発がん性も少ないとされています。
やけどを防ぐため、最初の照射時間は短くし、だんだんと長くしていきます。あまり間をあけると照射時間を短くしなければならないため、1~2週間に1回程度の通院が必要になります。10~20回ほど照射すると治療の効果が出始めます。正常部に照射してしまうと日焼けと同じように色素沈着を生じるため、白斑部のみに照射を行うことが重要です。

手術療法

ほかの治療ではあまり効果が見られず、積極的な治療を希望される方には、皮膚移植術など手術療法がおすすめです。

 

 

皮膚科の疾患

 

当院で掲載している疾患に関する説明は、患者さん並びにご家族の皆様に参考となる情報提供であり、全ての疾患の検査や治療を行えるわけではありません。

病名・部位・キーワードから病気を調べる(ヘルスケアプラットフォーム:Medicalnote)

関連記事

最近の記事 おすすめ記事
  1. 登録されている記事はございません。
  1. 帯状疱疹(ヘルペス)・帯状疱疹後神経痛の治療

  2. 全身性強皮症

  3. 褥瘡

カテゴリー

アーカイブ

検索

TOP
TOP