皮膚リンパ腫

皮膚リンパ腫

皮膚リンパ腫は白血球の一つであるリンパ球が皮膚で活性化しながら、増殖をはじめる病気です。もともとリンパ球は血液やリンパ節などを動き回っていますが、皮膚に親和性をもって集まり、皮膚で活性化するタイプがあります。異常なリンパ球が皮膚に集まり、増殖を始める場合に、皮膚リンパ腫と呼ばれ、他の臓器のリンパ腫と区別されます。診断時に皮膚だけに病変がある場合に、「原発性」皮膚リンパ腫と呼びます。

病型

リンパ球はT細胞、B細胞、NK細胞などに分けられていますので、リンパ腫の診断は、腫瘍細胞が由来するリンパ球の名前をとって、T細胞リンパ腫、B細胞リンパ腫、NK細胞リンパ腫などに大別されます。皮膚リンパ腫の約85%はT細胞です。しかし、皮膚リンパ腫には独特な皮膚症状、病理組織所見や異なった臨床経過をとりますので、それらの所見を診断に組み入れた独特の病名が使われます。
皮膚T細胞リンパ腫の約半数は「菌状息肉症(きんじょうそくにくしょう)」という低悪性度の病型です。「セザリー症候群」は、細胞学的には菌状息肉症と同じですが、紅皮症(全身皮膚に病変あり)、リンパ節腫大と末梢血に異型T細胞が流入した状態をいいます。そのほかに、皮膚T細胞リンパ腫が未分化大細胞リンパ腫(ALCL)、成人T細胞白血病・リンパ腫(ATLL)など多数の病型があります。
皮膚B細胞リンパ腫もいくつかの病型があります。多くは悪性度が低いのですが、中には中等度悪性の病型もあります。メトトレキサートなどの薬剤で誘発される皮膚B細胞リンパ腫もあります。

菌状息肉症

皮膚リンパ腫のなかで最も頻度の高い、低悪性度のT細胞性リンパ腫です。 早期病変(紅斑期と呼ばれる)は、湿疹や乾燥肌のような病変が体幹や四肢に出現します。この時点での診断はベテラン皮膚科医でも難しく、皮膚所見や病理組織所見を参考にして経過をみないと最終診断に至らないことが多いです。少し、進行して局面期になると、診断は比較的容易になります。
皮膚病変面積が少ない早期病変の場合には、10年間経過をみた場合に病気が進行する割合は約10%です。残りの90%の患者さんは安定した状態か、治癒する場合もあります。進行する場合でも数年から10数年かけてゆっくりと進みますので、低悪性度リンパ腫に分類されます。
一部の患者さんでは腫瘤状病変が形成や紅皮症(全身皮膚に病変)になり、リンパ節が大きくなってくることがあります。まれに、紅皮症とともに末梢血に皮膚の異型リンパ球が流入してセザリー症候群になることがあります。

皮膚リンパ腫の症状

その早期病変は、皮膚科医がみても、湿疹や皮膚炎と鑑別することが難しいことがあります。そのほかの菌状息肉症の皮膚症状として、魚鱗癬様の乾燥、多形皮膚萎縮(色素沈着、色素脱失や毛細血管拡張などを伴う)、毛孔に一致した丘疹などの皮膚症状もあります。アトピー性皮膚炎に合併して菌状息肉症が発症することもありますので、注意が必要です。進行すれば腫瘤、紅皮症やリンパ節が腫大してきます。菌状息肉症以外の皮膚リンパ腫では、小腫瘤、大腫瘤、潰瘍を伴う皮膚硬結などさまざまな皮膚病変を生じます。

皮膚リンパ腫の原因

菌状息肉症とセザリー症候群の原因はいまだに不明です。皮膚、特に表皮において、Tリンパ球が活性化して、細胞が長生きしている間に、腫瘍化するための二次的な遺伝子異常が加わっていくと考えられています。
成人T細胞白血病・リンパ腫(ATLL)のトリガーとなる原因は、HTLV-1と呼ばれるレトロウイルスです。稀な病型の節外性NK/T細胞リンパ腫(鼻型)ではほぼ全例にEBウイルスが感染しています。関節リウマチの治療薬であるメトトレキサート(リウマトレックスなど)で誘発されたB細胞リンパ腫では半数程度にEBウイルスが感染しています。その他のリンパ腫については原因不明です。

皮膚リンパ腫の治療法

病期によってさまざまな治療法が推奨されています。皮膚病変に対しては、外用療法(ステロイド、ニトロソウレア、ベキサロテンなど)、免疫療法(インターフェロンなど)、光化学療法(ナローバンドUVB、PUVAなど)、放射線療法(局所、全身)、単剤化学療法(エトポシド、メトトレキサート、ベキサロテン、ボリノスタットなど)、多剤化学療法を、病期に合わせて、組み合わせながら用います。ただし、日本では保険診療上、未承認の薬剤が多いのが難点です。化学療法の合併症を防ぐための補助的療法(支持療法と呼びます)を行います。

 

 

皮膚科の疾患

 

当院で掲載している疾患に関する説明は、患者さん並びにご家族の皆様に参考となる情報提供であり、全ての疾患の検査や治療を行えるわけではありません。

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