風疹

風疹

風疹は、風しんウイルスによって引き起こされる急性の風疹ウイルスによっておこる急性の発疹性感染症で、風疹への免疫がない集団において、1人の風疹患者から5~7人にうつす強い感染力を有します。
風疹ウイルスの感染経路は、飛沫感染で、ヒトからヒトへ感染が伝播します。
症状は不顕性感染(感染症状を示さない)から、重篤な合併症併発まで幅広く、特に成人で発症した場合、高熱や発疹が長く続いたり、関節痛を認めるなど、小児より重症化することがあります。また、脳炎や血小板減少性紫斑病を合併するなど、入院加療を要することもあるため、決して軽視はできない疾患です。
また、風疹に対する免疫が不十分な妊娠20週頃までの妊婦が風疹ウイルスに感染すると、先天性風疹症候群の子どもが生まれてくる可能性が高くなります。

病原体

病原体はトガウイルス科(Togavirus family)のルビウイルス属(Rubivirus genus)に属する風疹ウイルス(Rubella virus)です。風疹ウイルスは、感染した人の鼻汁やのどの粘液から、発疹出現の一週間前から二週間後までの間、分離されます。大量のウイルスが対外に放出されるのは、発疹出現後、四日までです。尿・血液・脳脊髄液などから検出されることもあります。アメリカ合衆国のCDC(疾病管理センター)のサーベランス・マニュアル(参考文献4)によれば、風疹患者が他の人を感染させる可能性がある期間は、発疹出現の7日前から7日後までの間としています。同マニュアルによれば、風疹患者は発疹出現の7日後まで隔離するべきであるとしています。
なお、トガ(toga)とは、古代ローマにおいて、約6mの長さの布を身体に巻きつけて装った衣装のことを言います。トガウイルスが厚い外被で覆われているのを、古代ローマの人が厚いtogaを羽織っているのに例えての命名です。また、トガウイルス科にはルビウイルス属以外にアルファウイルス属が属し、アルファウイルス属には、西部馬脳炎ウイルス・東部馬脳炎ウイルス・ベネズエラ馬脳炎ウイルス・チクングニヤウイルス(chikunguniya virus : CHIKV)等が属します。

症状と徴候

多くの症例が軽症です。14~21日の潜伏期の後,成人では1~5日間の前駆期(通常は微熱,倦怠感,結膜炎,およびリンパ節腫脹がみられる)が続きますが,小児では前駆期はごく軽微であるか認められません。圧痛を伴う後頭部,耳介後部,および後頸部リンパ節の腫脹が特徴的です。発症時には咽頭充血がみられます。
発疹は麻疹に類似しますがが,範囲が狭く,消失しやすい傾向があり,しばしば小児では最初の徴候となります。発疹は顔面および頸部から始まり,体幹と四肢へ急速に拡大し、発症時には圧迫により消退する斑状紅斑が特に顔面に出現することがあります。第2病日には,しばしば発疹が紅潮を伴って,より猩紅熱様(点状)となります。軟口蓋の点状出血斑(Forschheimer斑)は,後に癒合して強い発赤面となり発疹は3~5日間持続します。
小児では,全身症状は認められないか軽度であり,具体的には倦怠感やときに関節痛がみられます。成人では,全身症状はあってもわずかですが、ときに発熱,倦怠感,頭痛,関節硬直,一過性の関節炎,および軽度の鼻炎がみられます。典型的には発疹出現後2日目までに解熱します。

風疹予防接種

予防接種には法律に基づいて市区町村が主体となって実施する「定期接種」と、希望者が各自で受ける「任意接種」があります。 接種費用は、定期接種は公費ですが(一部で自己負担あり)、任意接種は自己負担となります。市区町村が実施する予防接種の種類や補助内容の詳細については、市区町村などに確認して下さい。
風疹の予防には、風疹と麻疹(はしか)の2つを予防する「麻疹風疹混合(MR) ワクチン」を打つことを、国や専門家は勧めています。
風疹だけの「単独ワクチン」もありますが、成人は麻疹の抗体が少ない人も多く、妊娠中に麻疹にかかると流産や早産のリスクが高くなります。
風疹のワクチンは2回の接種で約95%、2回の接種で約99%、風疹を予防できるとされています。確実に抗体をつけるためには2回の接種が勧められています。また、接種歴が分からないなどの理由で、3回接種しても問題ありません。

風疹にかからないためには

男女ともにワクチンを接種して、感染予防に必要な免疫を獲得しておくことが重要です。まず自身の母子手帳で、風疹ワクチンの接種記録を確認しましょう。接種回数が2回あれば風疹にかかりにくい体になっていると考えられます。2回接種した記録がない方が抗体をつける方法は、
医療機関を受診し、風疹に対する戦う力(抗体)を持っているのか調べる
抗体が不十分な時にはワクチンを接種します(風疹ワクチンは生ワクチンのため、妊娠中接種する事ができません)
検査やワクチン接種についてはかかりつけ医にご相談ください。
自分が抗体を持っているかわからない妊娠中、もしくは妊娠する可能性のある女性は、
なるべく人混みを避ける
やむを得ず多くの人が集まる所に行く場合にはマスクを着用する
外出先から帰ったら手洗い・うがいを行う
などの対策を行いましょう。自分が風疹にかかった場合、症状が出てから約10日くらいは、妊娠している女性の近くには行かないよう配慮する事も、小さな命を守るために大切な事です。

 

風疹のよくある質問

Q.風しんに合併症はありますか?

A.風しんの症状は子供では比較的軽いのですが、まれに脳炎、血小板減少紫斑病などの合併症が2,000人から5,000人に1人ぐらいの割合で発生することがあります。また、大人がかかると発熱や発疹の期間が子供に比べると長く、関節痛がひどいことが多いとされています。

Q.風しんに予防法はありますか?

A.有効な予防は、ワクチン接種です。特に、先天性風しん症候群の発生を防ぐために、妊婦や妊娠を希望している女性とそのパートナーの予防が重要です。十分な免疫を有しているか否かは抗体検査により知ることができます。抗体検査は検査費用の一部補助を市区町村が実施しているところがありますので、お住いの区市町村予防接種担当にお尋ねください。

Q.風しんにかかりやすい人はどんな人ですか?

A.風しん予防接種を受けたことがない人、今までに風しんにかかったことがない人です。1995年以前は風しんが定期接種として導入されていなかったため、これ以前の年代では免疫を持っていない人が多いことが分かっています。免疫を持っていない人が多い集団から風しん患者が発生すると、集団感染となりやすいので特に注意が必要です。

Q.ワクチンの副反応はありますか?

A.1回目のワクチン接種後の副反応として最も多くみられるのは発熱です。発生頻度は接種後1週間前後が最も高く、接種して2週間以内に約13%でみられます。発疹は接種後1週間前後に数%程度、アレルギー反応としてのじんま疹が約3%、また発熱に伴うけいれんが約0.3%にみられます。2回目の接種では接種局所の反応が見られる場合がありますが、発熱、発疹の頻度は極めて低くなります。稀な副反応として、脳炎・脳症が100万~150万人に1人以下の頻度で報告されていますが、ワクチンとの因果関係が明らかでない場合も含まれています。

Q.風しんの予防接種はどうして2回必要なのですか?

A.2回の接種を受けることで1回の接種では抗体が付かなかった方の多くに抗体をつけることができます。さらに、接種後年数の経過と共に、抗体が低下してきた人に対しては、追加のワクチンを受けることで免疫機能を増強させる効果があります。

Q.卵アレルギーの子供でもワクチンを受けることはできますか?

A.麻しん風しん混合(MR)ワクチンのような麻しん含有ワクチンは、ニワトリの胚細胞を用いて製造されており、卵そのものを使っていないため卵アレルギーによるアレルギー反応の心配はほとんどないとされています。しかし、重度のアレルギー(アナフィラキシー反応の既往のある人など)のある方は、ワクチンに含まれるその他の成分によるアレルギー反応が生ずる可能性もあるので、接種時にかかりつけの医師に相談してください。

Q.先天性風疹症候群とはどんな病気ですか?

A.妊婦、妊娠20週頃まで(とくに、妊娠初期)の女性が風疹にかかると、胎児が風疹ウイルスに感染し、難聴、心疾患、白内障、そして精神や身体の発達の遅れ等の障がいをもった赤ちゃんがうまれる可能性があります。これらの障がいを先天性風疹症候群といいます。先天性風疹症候群をもった赤ちゃんがこれらすべての障がいをもつとは限らず、これらの障がいのうちの一つか二つのみを持つ場合もあり、気づかれるまでに時間がかかることもあります。

Q.男性でも風疹の予防接種は必要なのですか?

A.必要です。風疹は通常あまり重くない病気ですが、まれに脳炎、血小板減少性紫斑病などの軽視できない合併症をおこすことがあります。また、予防接種をうけず自然感染したときには、妊娠中のお母さんなどにうつしてしまうことがあり、大きくなってからであれば妊娠中の配偶者(妻)あるいはパートナー、職場の同僚などにうつすことで、生まれてくる赤ちゃんが先天性風疹症候群と診断される可能性が生じます。風疹の合併症から身を守り、家族や周りの人への感染を予防し、将来自分達のこどもを先天性風疹症候群から守るためにも、男性も可能な限り早く風疹の予防接種をうけて下さい。

Q.風疹の予防接種をうけると風疹にはかからないと考えてよいでしょうか?

A.すべての薬が100%の効果をもつとは限らないように、ワクチンの効果も100%とはいえません。これまでの報告を総合すると、風疹を含むワクチン(今は、原則麻疹風疹混合ワクチンが使われています)を1回接種した人に免疫ができる割合は約95%、2回接種した人に免疫ができる割合は約99%と考えられています。現在は、2回の接種が定期接種として実施されており、より高い効果が得られています。

Q.こどもの時に風疹にかかったと親にいわれていますが、この場合予防接種をうける必要はありますか?

A.すでに風疹にかかったとの記憶のある人達に血液検査を行ったところ、約半分は記憶違い、または風疹に似た他の病気にかかっていたという調査結果もあります。風疹にかかったことが血液検査などで確かめられていない場合(風疹にかかった記憶だけの場合や、医療機関を受診していても症状だけからの診断で、診断が血液検査によって確認されていない場合など)は必ずしも信頼できません。これまで風疹の予防接種をうけたことがないのなら、なるべく早く予防接種をうけることをお勧めします。

Q.風これまで風疹の予防接種を受けたという記録がありません。この場合予防接種をうけるべきなのでしょうか?

A.予防接種をうけたことが記録で確認されていない場合、男女ともなるべく早く接種することをお勧めします。血液検査で十分高い抗体価があることが確認された場合にはこの必要はありません。

 

 

皮膚科の疾患

 

当院で掲載している疾患に関する説明は、患者さん並びにご家族の皆様に参考となる情報提供であり、全ての疾患の検査や治療を行えるわけではありません。

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