中毒性表皮壊死症

中毒性表皮壊死症(Toxic Epidermal Necrolysis, TEN)は、希少ながら重篤な皮膚疾患の一種で、薬物や感染症などの刺激によって、皮膚や粘膜が広範囲に壊死する病気です。TENは、表皮剥離症候群(Stevens-Johnson Syndrome, SJS)とともに、重症薬疹と呼ばれる症候群の一部として位置づけられます。本稿では、TENについて、その原因、症状、診断、治療について説明します。

【原因】
TENの原因は、主に薬物によるものが多く、一部の感染症や癌の治療に使用される薬物も原因となることがあります。TENを引き起こす薬物は、非ステロイド性抗炎症薬、抗生物質、抗痙攣薬、免疫抑制剤、解熱鎮痛剤などがあります。薬剤によっては、数日から数週間の投与後にTENが発症することがあります。

【症状】
TENの症状は、発熱、全身倦怠感、頭痛、喉の痛み、目のかすみ、発疹などがあります。その後、症状が進行し、水疱が形成され、皮膚や粘膜の広範囲にわたって剥離が進行します。皮膚の剥離は、通常手足の末端から始まり、全身に広がっていきます。TENの重症度は、皮膚の剥離の広がりによって分類され、30%以上の皮膚剥離がある場合は、重症とされます。TENは、皮膚以外にも、目、口、鼻、喉、肺、腸などの粘膜にも影響を与えることがあります。

【診断】
TENの診断は、皮膚の剥離が特徴的なため、比較的容易に診断できます。ただし、症状が進行している場合には、診断が遅れることがあります。TENの診断には、皮膚生検、して、病因を特定するための薬剤過敏症テストなどが行われることがあります。また、TENはSJSと重複することがあり、両者の鑑別が必要となる場合があります。

【治療】
TENの治療は、早期に開始することが重要です。治療は、病因となる薬剤の中止や、病原菌の除去、免疫抑制剤の投与などが含まれます。皮膚の剥離が進行している場合には、病室での経過観察や、輸液や栄養補給、痛みの緩和などの対症療法が行われます。TENの治療には、専門的な医療チームによる総合的な治療が必要となります。

【予後】
TENの予後は、皮膚の剥離の程度によって異なりますが、重症の場合には死亡率が高くなります。早期の診断と治療が行われた場合には、予後が良好であることが多いですが、治療によって皮膚の再生や修復が困難な場合には、後遺症が残ることがあります。

【まとめ】
TENは、皮膚剥離症候群の一種で、薬物や感染症などの刺激によって引き起こされる重篤な皮膚疾患です。早期の診断と治療が重要であり、治療には専門的な医療チームによる総合的な治療が必要です。TENは、皮膚以外の粘膜にも影響を与えることがあるため、治療には注意が必要です。TENに対する正しい知識を持ち、早期の診断と適切な治療が行われることで、予後を改善することができます。

 

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