多汗症

多汗症

過剰に汗をかく病気を「多汗症」と言います。多汗症は、全身の汗が増加する全身性多汗症と、手のひら、足の裏、脇、顏など、体の一部に汗が増える局所性多汗症があります。また、多汗症は他の病気が原因で過剰に汗が出る場合と、そうした基礎疾患がないのに過剰に発汗する原発性多汗症に分けられます。厚生労働省の研究班の2011年度調査によると、手のひらや足の裏に過剰な汗をかく原発性掌蹠多汗症の有病率は人口の5.3%、脇に過剰な汗をかく原発性腋窩多汗症は5.7%と非常に多いことがわかっています。しかし、これらの患者中で、医療機関での治療を行っているのは1割程度と推定されます。

多汗症の主な原因

先にも少し触れたとおり、多汗症の原因はさまざまにあります。ここからは主な原因について、全身性多汗症と局所性多汗症とに分けてみていきましょう。
全身性多汗症の原因
■温熱性発汗:運動、高温環境、発熱など
■内分泌・代謝性発汗:更年期障害、甲状腺機能亢進症、糖尿病、肥満症など
■神経障害による発汗:パーキンソン病など
■薬剤副作用による発汗:向精神薬、睡眠導入薬、非ステロイド抗炎症薬、ステロイド薬などの服用
■感染症による発汗:結核、敗血症など
■特発性発汗:原因不明
局所性多汗症の原因
■精神性発汗:精神的緊張によるもの(手掌、足底、腋窩など)
■味覚性発汗:辛いものを食べたとき(顔面)
■神経障害による発汗:胸部交感神経切除後など(体幹)
■その他:皮膚疾患による局所多汗症など
局所性多汗症の最も多い原因は、精神的緊張によるものといわれています。また、手の平と足底以外の局所性多汗は、神経疾患が原因のケースが多いです。多汗部位が左右非対称になっている場合は、さらにその可能性が高いといえるでしょう。

具体的な症状

具体的な症状として、学校では答案用紙が汗で破れ、鉛筆書きができなくなることから学業に支障がでます。体育では鉄棒・球技が難しくなります。フォークダンスなど他人と接触する行為は嫌いになります。
日常生活においても握手やパソコンのキーボードの扱い・紙幣やレシートの受け渡しなどで不便が伴います。このため、たえずハンカチやタオルなどを持たなくてはなりません。

治療

何らかの基礎疾患が原因で多汗症状が出ている場合は、基礎疾患の治療が優先されます。原発性多汗症に対しては治療ガイドラインが定められ、手のひら、足の裏の原発性多汗症には、まず、塩化アルミニウムという外用薬の塗布か、水道水の入った容器に手足をつけ、微弱な電流を流すイオントフォレーシスという治療のどちらかを行います。それで効果が見られない場合は、ボツリヌス毒素局所注射療法があり、重症の手のひらの多汗症で患者から強い希望がある場合に限り、内視鏡で胸部の交感神経を遮断する手術療法を選択することもあります。脇の原発性多汗症に対しては、まず、塩化アルミニウム外用薬による治療を行い、効果が見られない重症例に対してはボツリヌス毒素注射療法が選択されます。この場合のボツリヌス毒素注射療法は2012年に保険適応が認められました。この他に多汗症全般に対し、皮膚に炎症を伴う場合は抗炎症薬を、精神症状を伴う場合は抗精神薬を用い、併用療法として神経ブロック、内服薬などを用いる場合もあります。

 

多汗症のよくある質問

Q.脇の多汗症は何歳くらいから発症しますか?何人に1人くらいの確率で発症しますか?

A.脇汗スッキリProjectでの調査では、脇の多汗症患者のうち約10%の方が10代でした。
診断基準の1つに「最初に過剰な汗がでたのは25歳以下である」という項目もあり、若いころから悩んでいる方が多い病気です。
また日本人の約27人に1人が脇の多汗症であると考えられます。

Q.脇の多汗症は、ワキガと何が違うのですか?

A.多汗症とワキガの大きな違いは、独特な鼻をつくようなニオイがあるかどうかです。脇汗が多いからといって、ワキガとは限りません。
ワキガは“アポクリン汗腺”からたんぱく質や脂肪が含まれる汗が出て、菌などと結びつくことでニオイを発します。
一方、多汗症は“エクリン汗腺”から無臭の汗が大量に出て、汗ジミなど日常生活に支障をきたします。

Q.多汗症による汗は無臭なはずなのに、ニオイが気になるのはなぜ?

A.それはエクリン汗臭というものかもしれません。
多汗症による汗は約99%が水分であるため、基本的にニオイは発生しにくいと思われます。
ただし、皮膚の表面で皮脂などと混ざると菌が繁殖しやすくなり、汗の成分などが分解されてニオイが発生する可能性があります。

Q.脇の多汗症を診断してもらうには何科を受診すればいい?

A.脇の多汗症は皮膚科で診断できます。
問診のみで診断されることが多いので、気軽に相談してください。
また、保険適用のある塗り薬(抗コリン外用薬)など治療の選択肢が増えているので、皮膚科医と相談して、自分の症状やライフスタイルに合った方法を見つけましょう。

Q.どこからが多汗症?汗っかきとどこが違う?

A.脇汗の場合、日常生活への支障を感じているかどうかが、多汗症治療のとても大事な判断指標となります。
「汗ジミや汚れが気になって着る服の色が限定される」「脇汗が気になって他人との会話に集中できない」などの悩みがある方は、まずは皮膚科で相談してみてください。

Q.多汗症は遺伝しますか?

A.医学的にはまだ解明されていませんが、遺伝子的要因があることが示唆されています。
家族にも同じような症状がある場合は、医師に相談する際に伝えてください。

Q.脇汗の治療には保険がききますか?

A.はい、塗り薬(抗コリン外用薬)や注射剤など、保険適用となる治療法があります。

Q.脇の多汗症治療のために病院で処方される塗り薬と、市販の制汗剤は何が違うの?

A.病院で処方される塗り薬は、発汗を抑えることを目的とした「医薬品」です。
制汗剤は、発汗を防ぐこと(作用はゆるやか)を目的とした「医薬部外品」または、清潔にすることを目的とした「化粧品」です。

 

 

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当院で掲載している疾患に関する説明は、患者さん並びにご家族の皆様に参考となる情報提供であり、全ての疾患の検査や治療を行えるわけではありません。

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