薬疹

薬疹

薬疹とは病気の治療をするために内服や注射などの方法で薬を使った際に治療効果以外の作用が現れることを薬の副作用といいますが、その3割で薬疹とよばれる発疹を生じます。医師から処方された薬や市販の薬以外にも漢方薬や健康食品でも薬疹は生じうるので注意が必要です。

症状

軽症ないし中等症の薬疹:頻度の多い病型

①播種状紅斑丘疹型:薬疹の半数程度はこの型です。体幹・四肢近囲部の対称的な紅斑で、開始後数日程度で生じることが多いです。 抗菌薬・鎮痛剤・CT造影剤などによることが多いです。
②多形紅斑型:次いで多く、四肢遠位部中心のややぽったりした紅斑で、 時に口腔内などの粘膜疹が合併します。背景に感冒などのウイルス感染などがあることも多いです。 抗菌薬・鎮痛剤などが主な原因薬剤です。
③固定薬疹:内服して数時間で毎回同じ部位に出現し、色素沈着を残します。鎮痛剤・去痰剤・抗菌薬などによることが多く、 口唇・陰部ヘルペスと間違われることもあります。
④じんましん型:内服して数分から30分程度でじんましん、時に冷や汗や血圧低下などアナフィラキシー症状を起こします。 やはり抗菌薬・鎮痛剤などが主な原因薬剤です。

重症薬疹:代表的3病型。いずれも全身の紅斑・高熱を伴います

①Stevens-Johnson症候群:眼球・口唇の粘膜疹をみます。TENとしばしば合併します(SJS/TEN)。 抗てんかん薬・抗菌薬・解熱鎮痛剤などが原因として多いです。
②中毒性表皮壊死症:表皮が熱傷のように水疱・びらんになる最重症の薬疹です。
③薬剤過敏症症候群: 異型リンパ球などの血球増加、肝機能障害などを伴います。高尿酸血症薬・抗てんかん薬など限られた薬剤が関与し、 HHV-6(突発性発疹の原因ウイルス)の再活性化があります。

分類

薬疹には皮疹の形によって臨床的な病型分類があります。しかも、原因となる薬によって、ある程度は薬疹の型が決まっていますので、経験のある皮膚科医であれば、皮膚の性状を見て、原因となる薬剤を予測することができます。しかしながら、最近の新しく開発された薬剤、例えば生物学的製剤や分子標的薬などでは古典的な薬疹の分類に入らない皮疹をとる場合が少なくありません。
①多型紅斑型
②播種性紅斑丘疹型
③水疱型
④蕁麻疹型
⑤扁平苔癬型
⑥湿疹型
⑦固定薬疹型
⑧光線過敏型
⑨ざ瘡型
⑩重症型薬疹

治療

重症型薬疹以外は、基本的には外来で治療が可能です。ただし、原因となった薬剤により治るまでの期間は異なります。一般的には水溶性の薬剤は飲むのを止めて48~72時間程度で体から無くなりますが、脂溶性の薬剤(例えばアジスロマイシン)は、飲むのを止めても長期間(1~2週間)体内に残りますので、薬疹も長期間続くことになります。
治療の基本は、
(1)原因薬剤を推測して、中止する。
(2)副腎皮質ホルモン剤の外用。
(3)抗アレルギー剤の内服。
(4)副腎皮質ホルモン剤の内服。などです。

 

風邪のよくある質問

Q.どんな時に薬疹を疑いますか?

A.薬を内服して発疹が出た場合にはすぐ薬疹と考えたくなりますが、これは正しくありません。大体薬は具合が悪い時、とくにウイルス感染がある患者さんが内服する場合が殆どなので、薬疹かウイルス感染かの区別が難しい事が多いのです。つまり、ウイルス感染の一つの症状として発疹が出てくる場合、例えば麻疹(ハシカ)のように最初熱が出て、それから発疹が出てくるようなウイルス感染の場合には、ウイルス感染を疑わなければ薬疹と間違って診断されることになります。そのため薬疹と診断するには、薬を内服し始めてから発疹の出現するまでの経過が重要です。新しい薬を飲み始めて1~2週間で出てくる場合には(アレルギー性)薬疹を疑うことになります。薬を中止して発疹が良くなってくる場合には、ますます薬疹の可能性が強くなります。しかし、まだこれだけでは薬疹の診断には十分と言えません。先程述べたウイルス感染の場合でも、自然に発疹が良くなってくるからです。血液検査で白血球のうちの好酸球が増えている場合には、薬疹の可能性が高くなりますが、決定的とは言えません。

Q.それでは薬疹の診断はどうやってつけるのですか?

A.薬疹を診断するのは極めて骨の折れる作業なのです。まず発疹と経過から薬疹を疑った場合、どのような薬の内服を、いつから始めたか、そして発疹はいつ出てきたかを詳細に尋ねます。さらに今まで、薬を飲んで発疹が出たことがあるかを尋ねます。しかし患者さんの多くは“薬を飲んで何か出たことがある”とは話をされても、その内容までは良く覚えておらず、何の薬でどんな発疹が出たかを正確に話せる人は極めて少ないといっても良いでしょう。例えば“今までに何々の薬でスチーブンス・ジョンソン症候群を生じたことがある”と話していただいた場合は、本当に有用な情報となります。その場合には今回内服した薬のなかから、以前に薬疹を起こしたのと類似した薬(成分)を飲んでいないか、を調べることになります。そのようにして原因薬を絞った後に、文献的にそれらの薬がどのような薬疹のタイプを起こしやすいかを調べることになります。それによりさらに原因薬の見当をつけ、様々な検査を行うことになります。ふつうの血液検査では白血球数や、そのうちの好酸球数などが参考になります。しかし一般的にこの検査値なら薬疹を疑うべきという検査法は現在のところありません。

Q.薬疹を予防するのはどうしたら良いでしょうか?

A.アレルギー性薬疹の場合、その薬に対するアレルギー反応は一生続くと考えて良いと思います。つまり一度、ある薬で薬疹を起こしたら、その薬はもう一生内服出来ないと考えて良いと思います。となれば、一度アレルギーを起こした薬の名前を、薬を処方される度に必ず提示して、避けてもらう必要があります。そのために我々の施設では、薬疹カードを患者さんにお渡ししています。それには、どの薬でどのような薬疹を生じたのか、そしてそれはどのような検査法で陽性となったのかが書かれています。しかし、その原因となった薬剤が一般の市販薬にも多く含まれている成分であった場合には、患者さん自身が成分表とニラメッコで同じ成分が含まれていないかを十分にチェックする必要があります。このようにしても、患者さんが薬疹カードを呈示するのを忘れてしまえば、間違って原因薬が処方され内服してしまう場合もあります。いずれにせよ、薬疹を予防するためにはしっかりと診断して原因薬を決定しておくことが必要です。そのためには誘発試験まで行っておくことが大事です。さらに原因となった薬のかわりに内服出来る薬を見つけておくことも重要です。しかしそれはあくまでも、その時点で安全な薬ということであり、それとても、内服を続けるうちにアレルギーを起こすようになる可能性もあるということを忘れてはなりません。

Q.一度アレルギーになった薬を、何とか飲めるようにする方法はありませんか?

A.これは脱感作といって、一度アレルギーになった(つまり感作)状態から脱する方法と言えましょう。昔からいろいろ試みられていますが、脱感作が絶対に成功するという方法はありません。脱感作の方法として良く知られているのは、ごく少量から薬を再投与し、次第に量を増やしていく方法です。この際、薬といっしょに少量のステロイドの内服を行う場合もあります。いずれにせよ、比較的軽症の薬疹の場合にはこの方法が試みられ成功する場合もありますが、重症の薬疹でこの脱感作法を行うのは極めて危険ですので、試みられたことはないと思います。

Q.薬疹にならないためにはどうしたら良いでしょう?

A.これには良い方法はなく、極論すれば薬をなるべく飲まないようにするしかないと思います。しかしそうも言えないので、内服する薬はなるべく少なく、短期間にとどめることを原則にすべきだと思います。とくにウイルス感染時には(ウイルスに直接効く薬は殆どないので)、なるべく多種類の薬を飲まないようにすることが重要です。しかもその際に一度止めた薬を、また飲み始めるといった不規則な飲み方は感作を起こしやすくすると言えます。

 

 

皮膚科の疾患

 

当院で掲載している疾患に関する説明は、患者さん並びにご家族の皆様に参考となる情報提供であり、全ての疾患の検査や治療を行えるわけではありません。

病名・部位・キーワードから病気を調べる(ヘルスケアプラットフォーム:Medicalnote)

関連記事

最近の記事 おすすめ記事
  1. 登録されている記事はございません。
  1. 帯状疱疹(ヘルペス)・帯状疱疹後神経痛の治療

  2. 褥瘡

  3. パーキンソン病

カテゴリー

アーカイブ

検索

TOP
TOP