脱毛症

脱毛症

脱毛症が頭髪などの毛が抜けていく状態ですが、毛穴がなくなるタイプ(瘢痕性脱毛症)と毛穴が保たれるタイプ(非瘢痕性脱毛症)に分けられます。毛穴がなくなるタイプでは、皮膚の生検術などの詳しい検査が必要となります。
毛穴が保たれるタイプには、休止期脱毛症、トリコチロマニア、男性型脱毛症、脂漏性皮膚炎に伴う脱毛、円形脱毛症などがあります。

脱毛症①:男性型脱毛症(薄毛)

額の生え際や頭頂部に限局して起こるのが特徴です。遺伝的な素因や加齢、ストレス、頭皮や全身の健康状態に影響されると言われています。ジヒドロテストステロンという男性ホルモンの働きにより毛の生え変わりの周期(毛周期)がくずれ、硬毛だった頭髪が細い軟毛になって目にみえなくなります。男性の額の生え際と頭頂部に始まり、徐々に拡大します。治療は外用剤もありますが、現在は病院での治療薬は男性ホルモンを抑制する内服薬です。内服薬はフィナステリドという男性ホルモンの作用をブロックする薬品で、薄毛の治療としては効果が高い治療法と考えます。この薬で最も注意を要するのは、妊娠した女性が誤って内服すると胎児に影響します。妊婦さんは触ってもいけない薬といわれていますので、自宅での薬の保管や扱いに注意してください。内服は1日1回で、中止すると効果が失われ脱毛が始まりますので、長期間内服することになります。病院で処方される薬剤ですが、健康保険で薬剤費用がカバーされないため自費治療となります。

脱毛症②:円形脱毛症

ストレスで生じることがありますが、原因不明の脱毛です。突然円形に頭髪が抜けます。1個から多数できる人もいます。治療はステロイドの外用剤や育毛剤、冷凍治療があります。重症の場合は、ステロイド内服を行う場合や局所免疫療法、紫外線療法など大学病院の脱毛外来で治療を行う場合もあります。

脱毛症③:粃糠(ひこう)性脱毛症

いわゆるフケ症(脂漏性湿疹)が高じて毛穴の健康状態が悪化し抜け毛が増えるものです。頭皮が赤くなったりかさつきます。脂漏性湿疹の治療を行うと脱毛症は改善します。

脱毛症④:機械性脱毛

たとえば毛を後ろに強くひっぱってポニーテールを長期間作っていた場合、前頭部が後退するものです。そのような刺激を避けると改善します。

その他

薬剤や全身性の内科的な病気で脱毛を起こすことがあります。抗がん剤で頭髪全体が急激に抜けるのが代表的なものです。薬剤を中止したり、基礎疾患の治療をすると改善してきます。

 

脱毛症のよくある質問

Q.毛が伸びる、または生えかわる仕組みはどのようになっているのでしょうか?

A.毛は「毛包」(または「毛嚢」)と呼ばれる毛穴を中心に皮膚に「埋め込まれた」ような小さな円筒形の構造によって作られます。毛包の下端(身体のより深い部分)は少し膨らんでおり「毛球部」と呼ばれます。毛球部には「毛乳頭」と呼ばれる細胞の塊があります。また、この塊を囲むように「毛母細胞」という毛のもとになる細胞があります。毛母細胞が毛乳頭からの働きかけによって増える(細胞分裂)することで毛が伸びていきます。ただ、細胞にも寿命があり、永久に毛を作り続けることはできません。そこで、生えかわる必要があるのです。
定期的に理容室やヘアサロンにいくことからもわかるように、私たちの頭髪は約10万本あるとされていますが、そのほとんど(約85−90%)が「伸びる毛」です。この毛をつくり出す力のある毛包は「成長期」にあると言われます。成長期は毛包ごとに異なりますが、大体2−6年続くと考えられています。毛は一日約0.4mm伸びます。毛包は次第に毛をつくる力を失うため、毛をつくり出す仕組みを新しく作り替えます。そのため一度、毛球部を含む下の部分をなくし、新しいものにするのです。毛包の下部の構造が次第に縮んでいく時期を「退行期」、次の成長期に備えて毛をつくることを休む時期を「休止期」と言います。休止期は2−3ヶ月あり、通常、次の成長期に入る準備ができると毛が抜けます。この毛の抜け替わりのサイクルを「毛周期」と呼びます。
一日に抜ける毛の量は、個人差、季節差、ヘアケアの仕方などもよりますがおおよそ一日100本程度までといわれています。

Q.年齢・人種などによる毛の質や濃さの違いはどうしてみられるのでしょうか?

A.髪の毛はいくつかの種類のたんぱく質からできています。また髪の毛が作られ成長する過程では、何種類もの酵素が働いたり、細胞がホルモンなどの刺激を受け取ったり、細胞同士が接着しあったりといった複雑な仕組みが働きあいますが、ここでもたんぱく質が重要な働きを担っています。これらのたんぱく質は遺伝子の情報を元に作られます。
人類はその土地の気候や環境に適応するなかで、異なる遺伝子の特徴をもつ集団、すなわち人種に分かれて進化しました。異なる人種では髪の毛が作られ成長するのに関係する遺伝子が少しずつ異なっているため、髪の毛の太さや構造、形に違いがあり、結果として毛の質(直毛、巻き毛など)や濃さといった外見的な違いが生じます(図X)。同じ人種でも個人によって遺伝子の情報は全く同じではないため、毛の質や濃さは異なります。
毛の質や濃さの変化は成長や老化の過程でもみられます。毛は生まれてから成長が進むにつれて太くなり小学生頃には大人とほぼ同じくらいの太さになります。太さが変化することで毛の質も変化します。中年期になると特に男性では髪の毛が細く短く変化することがあります。さらに高齢者では髪の毛が一様に細くなり、色も失われていきます(白髪化)。このような変化は成長や老化に伴うホルモンや代謝の変化で起こると考えられていますが、その程度には個人差があり、ここでも遺伝子の情報をはじめとする様々な要因の関わりがあると考えられています。

Q.生まれつきの毛がない・少ない状態があるのでしょうか?

A.日本人では、生まれた時からしっかりとした黒い頭髪が生えている赤ちゃん(新生児)が普通です。その後、生まれてから3か月くらいで頭髪が容易な刺激で抜けやすくなる時期に入ることが知られており、新生児脱毛と呼ばれています。これは、新生児期に一度毛が生え変わる生理的な現象で、脱毛した後には再び黒く太い毛が生えてきて、1か月に約1cmの速度で伸びます。しかしながら、生まれつき頭髪が全くない、あるいは極端に少ない状態の新生児または乳児が稀にみられます。また、生まれた時の頭髪は一見正常に見えても、新生児脱毛の後に生えてきた頭髪が少なかったり伸びが悪くなることもあります。これらは、先天性無毛症・乏毛症と呼ばれる生まれつきの病気である可能性があります。さらに、頭髪が生まれつき細く縮れる先天性縮毛症の方が日本人に多いことも知られています。こうした病気は、何らかの遺伝子の異常によって発症することが徐々にわかってきています。また、頭皮の一部分だけ毛が生えない、あるいは毛が細く短い場合もあり、その原因はさまざまです。3歳くらいになってもお子さんの頭髪が少ないと感じられたら、皮膚科専門医に相談することをお勧めします。

Q.脱毛症になると毛は二度と生えないのでしょうか?

A.脱毛症は様々な原因でおきますので、全ての脱毛症で毛が生えなくなるわけではありません。脱毛症になった後、毛が生えるかどうかは毛をつくり出す毛包がどの程度ダメージを受けたかによります。毛周期(毛の生えかわり)が傷害続いても毛包が毛を作り続けることができるのは、毛包には全ての源となる細胞=幹細胞があり、毛包が多少こわれることがあっても修復することができるからです。
免疫反応や病原体の感染、薬剤や放射線。外傷、熱傷などの影響により幹細胞が完全に壊されてしまうと、毛包は自ら再生する力を失うため永久脱毛となりえます。また、完全に破壊されていないとして毛包が強くダメージをうけると細く弱い毛しかつくり出すことができなくなる場合もあります。
そのため、脱毛症になった場合には、なぜ毛が抜けるのかその理由をつきとめ、毛包の状態を評価することが大切になります。心配な場合には、できるだけ早く医療機関を受診すると良いでしょう。

Q.男性型脱毛症ではなぜ薄毛になるのでしょうか?

A.髪の毛は一定の周期で成長したり、抜けたりのサイクル、すなわち毛周期を繰り返しています。男性型脱毛症では、ふつう数年続くはずの毛が成長する時期(成長期)が極端に短くなってしまうことで十分に成長することができず、短く細い毛に変化すること(ミニチュア化)で薄毛になってしまいます。このミニチュア化は男性ホルモン(アンドロゲン)の持つ作用のために起こります。毛の根元の部分にある毛乳頭とよばれる細胞の塊は、普段は毛を作る指令を出していますが、これらの細胞は男性ホルモンを受け取ると、酵素(5α-還元酵素)の働きでミニチュア化作用が強い“活性型”の男性ホルモンに変化させてしまいます。活性型の男性ホルモンが毛乳頭のすぐ上の、毛の工場としての役割を持つ毛母細胞の増殖を妨げることが毛のミニチュア化が生じる最も大きな原因と考えられています。

Q.女性型脱毛症は男性型脱毛症とちがうのでしょうか?

A.女性にも男性型脱毛症と同じように特定のパターンをもった薄毛の状態が生じえます。しかし、男性と異なり、前髪が残り、その少し奥から頭頂にかけて薄毛となるバターンとなることが多いとされています。また、男性ホルモンの影響が明らかである男性型脱毛症と異なり、女性型脱毛症では男性ホルモンの影響に関して明確なデータはなく、女性ホルモンの状態など様々な理由により生じている場合が多いと考えられています。これらの理由から、どちらもある「パターン」を呈する病気として、一緒に語られることが多いものの、男性型脱毛症と女性型脱毛症は区別して取り扱われています。

Q.ストレスは円形脱毛症の原因になりますか?

A.確かに何らかの精神的なストレスがあった後に脱毛がはじまる患者さんもいらっしゃいます。しかし、多くの方ではストレスと直接的な関係なく症状がはじまっています。精神的なストレスは原因というよりも、むしろ「きっかけ」つまり誘因のひとつとなりうるものであろうと考えられています。円形脱毛症の頻度は人種や社会情勢にも影響されません。また、患者さんの1/4は15歳以下で発症し、ストレスがあまりないはずの乳児、幼児にも重症の方がおられます。このことからも、世間で広く言われているような、「ストレスから円形脱毛症」というストーリーほど単純な話ではないことがわかります。多くの患者さんの遺伝的な背景を調べたところ、円形脱毛症になりやすい素因がありそうだということが最近わかってきています。
実際には多くの場合、円形脱毛症を引き起こす「きっかけ」は脱毛症状をみただけではわかりません。それぞれの方のお話をよく聞いて推測することとなります。ウイルス感染症や肉体的疲労、出産など、精神的ストレス以外がきっかけと考えられる方が多くおられます。円形脱毛症=精神的ストレスが原因、という従来の考え方は見直されています。何度も円形脱毛症を繰り返す方は、疑わしい「きっかけ」を少なくすることが再発予防につながる場合もあるでしょう。

Q.かつらは脱毛症の治療に影響しますか?

A.かつらによる治療への影響はありません。カツラを使用することで社会生活や学校生活などに前向きになれるなど良い影響を与えることもあります。それぞれの患者様の状況に合わせて選択すべきものと思われます。

Q.ヘアスタイルと脱毛症の関係はありますか?

A.髪の毛が強くひっぱられるような髪型を習慣的に行うことで髪の毛が抜けることがあり、牽引性脱毛症と呼ばれています。ポニーテールや編み込み、三つ編み、お団子など一定の髪型を続けることで起こりやすく、特に前髪を後ろにひっぱるような髪型を長期間続けることで生え際の髪が抜けやすくなってしまいます。エクステンションやヘアアイロンなどの習慣も毛が引っ張られる力が加わるため、強さによっては原因となることがあります。
牽引性脱毛症は初期の段階であれば原因となっている髪型をやめることで元に戻りますが、長時間続くことで髪の毛をつくり、支える土台となる毛包まで障害を受けると永久的に髪が生えてこなくなることがあります。そのため早めに原因に気づき、皮膚科に相談して髪型やヘアケア習慣を変えたり工夫したりすることが大切です。

Q.他の病気と関連する脱毛はありますか?

A.皮膚だけでなく、毛も内臓の状態を映す鏡のようなもの、という考え方があり、実際に他の多くの病気に関連する脱毛症が知られています。
例えば、エリテマトーデスに代表される膠原病の一症状として脱毛が認められることがあります。また、毛の成長には多くのホルモンやミネラルが関与していることが分かっており、甲状腺機能低下症、副腎皮質機能不全症や亜鉛欠乏症などで脱毛を生じえます。さらに、さまざまな感染症による脱毛症もあり、代表的なものとして、白癬菌が毛に感染して脱毛を生じるケルスス禿瘡や梅毒に伴う脱毛症などが挙げられます。
エリテマトーデスの脱毛やケルスス禿瘡では、治療開始が遅れると脱毛部の皮膚が線維化して硬くなり永久に毛が生えなくなってしまうので(瘢痕性脱毛)、早期診断・早期治療が極めて重要です。
また大きな手術、重症の感染症、妊娠、過激なダイエットなどの後に、毛の抜けかわりが影響をうけ、抜け毛増える休止期脱毛という現象も知られています。

 

 

皮膚科の疾患

 

当院で掲載している疾患に関する説明は、患者さん並びにご家族の皆様に参考となる情報提供であり、全ての疾患の検査や治療を行えるわけではありません。

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