あざ

あざ

あざは、医学的に「母斑」といい、皮膚の一部に生じた色や形の異常の総称です。あざの多くは生まれつきですが、中には出生後に発生する場合や、もしくはそれ以降、成人してから生じる場合もあります。
生まれつきの場合、また出生後に発生する場合(遅発性母斑)のいずれも、母親の胎内にいる「胎生期」に、体の一部が突然異変を起こしてできるものだと考えられています。しかし、その原因はまだ明らかになっていません。
あざの種類を大きく分けると、青あざ・黒あざ・茶あざ・赤あざ・白あざに分類されます。その他にも、表皮母斑、脂腺母斑などがあります。

あざの原因

赤あざや青あざの中でも、転んだり、ぶつけたりといった打撲が原因で起こるあざ(内出血)は時間の経過とともに薄くなり、消えてなくなることが多いです。ただし、皮膚の奥深くが損傷していたり、加齢や糖尿病などの合併症があったりすると消えにくくなることがあります。一方、時間の経過で自然に消えることのないあざは、遺伝や皮膚の局所的な変化によるものです。内出血以外の青あざは、皮膚の深い部分で母斑細胞やメラニン色素が増殖したものです。茶あざは表皮上のメラニン色素の過度な増殖が原因になります。黒あざのうち、ほくろは皮膚の局所の異常が原因で、加齢でも増えます。また大きくて生まれつきあるものは、脳や神経、眼、骨、心臓、腎臓などにも病変が見られ、知的障害や臓器の腫瘍、てんかん、脊椎側弯症などの症状を伴うことがあり母斑症といいます。この場合、遺伝子や染色体の異常が関係しているといわれます。

覚えのないあざができやすくなる病気

覚えのないあざの中には病気が原因で引き起こされているものもあります。

血管や臓器の病気

血管を形成する組織の異常などを引き起こす病気によって身に覚えのないあざができやすくなることがあります。具体的には次のような病気が挙げられます。

老人性紫斑

加齢などを理由に皮膚・血管が弱くなり、日常生活で受ける少しのダメージで紫色のあざ(紫斑)が生じるようになります。年齢とともに発症する確率が高くなり、65歳以上の入院患者ではおよそ5%、90歳以上の男性では30%に見られます。一般的にこの病気による重大な影響はないため、治療をする必要はありません。

アレルギー性紫斑病

細い血管内でアレルギー反応が引き起こされ、血管が脆くなっていく病気です。3~10歳ごろの小児に起こりやすい病気で、細菌感染がきっかけになることが多いとされています。発症すると手足にかゆみを伴う小さな紫色のあざ(紫斑)が多くできるようになり、むくみや関節の痛みなどを生じることもあります。また、腹痛や腎炎を起こしやすいのも特徴のひとつで、血便、血尿が見られることがあります。

肝機能障害

血液を固める作用を持つ凝固因子の一部は肝臓で生成されています。このため、肝炎、肝硬変、肝臓がんなどの病気によって肝臓の機能が著しく低下すると、凝固因子が不足することにより、あざができやすい、鼻血が出やすいといった症状が現れることがあります。このような症状が現れる肝機能障害は極めて重度なケースが多く、そのほかにも腹水(お腹に水がたまる)や黄疸などの症状が見られ、さらに悪化すると体内にアンモニアがたまることによる”肝性脳症”を発症することも少なくありません。

あざの治療

自然に消えるイチゴ状血管腫や蒙古斑などの母斑、目立たない所にある小さなあざは基本的に治療する必要はありません。自然に消えないあざで、脂腺母斑のように将来的にがん化する可能性があるものや、顔や首、腕など大きく目立って美容的に問題があるものには、手術やレーザーによる治療を行います。赤あざに対しては、血管の数を減らすことのできるレーザーによる治療、また切除する治療も行われます。黒あざはあざの部分を切除し縫合する手術を行います。手術は局所麻酔によって行われ、日帰りで済むことが多いですが、小児などでは安全を考慮して全身麻酔で処置することがあります。また、あざが広範囲にわたる場合は植皮術や皮弁手術をすることもあります。一方、茶あざや青あざにはレーザー治療が有効である場合が多く、レーザーを数回照射して薄くしていきます。一般的に赤あざや黒あざの切除手術、茶あざや青あざのレーザー治療には健康保険が適用になる場合が多いですが、それ以外では自由診療となるので注意が必要です。母斑症で脳や目、内臓などに病変がある場合は各症状を抑えるための対症療法を行います。

 

あざのよくある質問

Q.太田母斑はどのような病気ですか?

A.太田母斑は額、目の回り、頬、鼻、耳介に生ずる青アザで、通常、顔の片側に生じます。しかし稀に両側性に生ずることもあります。皮膚病変は生後半年以内に生ずることが多いのですが、出生時に存在することは稀です。また思春期に色が濃くなったり、新たに色素斑が生ずることがありますが、20~40歳台に発症することも稀ではありません。典型的な太田母斑は青紫色から灰紫青色で、そこに薄い褐色の小色素斑が混在します。しかし色調が一様な褐色斑であると茶アザ、小さな褐色斑が左右対称に生ずるとソバカス、中年以降に両側性に生ずるとシミと誤診されることもあります。従ってシミと思っていても淡褐色斑に青色ないし灰紫色を混じたり、点状の色素斑を混じている場合は太田母斑の可能性があります。また目の下のくまと言われているものも多くは軽症の太田母斑です。しばしば白眼のところに青色の色素斑が存在することがありますが、この場合は出生時に顔に色素斑が存在しなくても、ほとんどの症例が思春期までに顔に青アザが生じ、しかも色素斑は広範囲に拡大することが多いようです。

Q.青アザの治療はいつしたらよいですか?

A.太田母斑はレーザー治療をいつ行ってもきれいにすることができますが、一般に小児の方が、治療回数が少なくてすみます。しかしレーザー治療には強いゴムで弾かれたような痛みをともなうので、小児ではあばれて、レーザー光線が目に入ると失明する危険性があります。従って小児期にレーザー治療を行う場合は、全身麻酔を受ける必要があります。今では小児でも安心して全身麻酔を受けることができますが、レーザー治療を何回か繰り返す必要があるため、麻酔による副作用を無視することはできません。しかも小児期に太田母斑のレーザー治療を行い、色素病変が消失しても、約半数の患者さんは、思春期頃にまた色素病変が生じてきます。従って、太田母斑が完全に完成する思春期以降になってからレーザー治療を行った方が、二重手間になりません。しかも成人になってから治療しても、きれいに治すことはできます。
一方蒙古斑の大部分は10歳前後に消えるので、小児期にレーザー治療を行う必要はありません。ただし、異所性蒙古斑では、完全に消えることはないため、レーザー治療の適応となります。しかしこれらの異所性蒙古斑も10歳頃までには、ある程度色調の改善がみられるので、10歳過ぎてからレーザー治療を開始した方がよいかもしれません。また通常の蒙古斑でも成人になって残存するもの(持続性蒙古斑)もレーザー治療の対象となります。但しこれらの蒙古斑は太田母斑と比べ、色が皮膚深部に存在する可能性があるため、太田母斑よりレーザーの効きが悪い可能性があります。

Q.茶アザの治療にはどのようなものがあるのでしょうか?

A.様々な治療法がありますが、必ずしも満足がいく結果は得られていません。その中で最もよい治療法は短パルスレーザー(Qスイッチ・レーザーなど)によるレーザー療法です。但しレーザーをたった一回照射するだけできれいに色が消える場合もありますが、大部分はレーザー照射後に色が濃くなったり、レーザー照射後色が抜け、その後毛穴に一致して黒色の斑点が生じたりします。このように満足のいかない結果に終わった人も、数ヶ月から半年以上たって元の茶アザに戻りますので、心配することはありませんが、レーザー治療は無効といわざるを得ません。レーザー治療が非常に効く症例はだいたい5人に1人程度ですが、成人より乳幼児の茶アザの方がレーザーに対する反応がよいようです。またよく効く例でも再発することがありますが、よく効く例ではまたレーザー治療を行えば、きれいに色を消すことができます。
レーザー照射前には治療効果を予測することはできないため、一部の色素斑をテスト照射し、その結果から今後レーザー治療を行うかどうか決めた方がよいと思います。他に皮膚凍結療法(ドライアイスや液体窒素スプレーで皮膚表面を凍らす方法)や削皮術(皮膚表面を削る方法)などがあります。これらの治療法はレーザー療法とほぼ同じ治療効果を示しますが、瘢痕などの副作用が多く、副作用の点でレーザー治療より劣ります。

Q.ホクロを取りたいのですがどうしたらよいでしょうか?

A.ホクロのように見えても、基底細胞癌や老人性角化腫、または悪性黒色腫といった皮膚癌のことがありますので、自己判断せずに、皮膚科専門医を受診し、本当にホクロかどうか診断を受けて下さい。
ホクロは母斑細胞からなる皮膚良性腫瘍ですので、これを取り除くためには、手術によって切除するしかありません。手術には色々な方法がありますが、円筒状の刃で刳り貫くパンチ切除と通常のメスで切除する方法、または電気メスや炭酸ガスレーザーで焼き切る方法があります。手術療法は一回の治療で済みますが、手術後、感染予防のためしばらく手術部位を濡らすことができないことと、手術の傷跡が残るという欠点があります。特に鼻と上唇の間に存在するホクロをパンチ切除や焼き切る方法で除去すると、ケロイドになりやすいです。しかし小型のホクロでは、特にシワがある部位では、手術の傷跡はシワに隠れてあまり目立たないこともあります。
一方、最近傷跡を残さない超短パルスレーザー(Qスイッチ・レーザー)が開発されました。このレーザーでは、色を持っているホクロの細胞だけを選択的に破壊するため、瘢痕形成がみられない利点があり、小さなホクロでは数回レーザー治療を行えばほとんど消失します。しかし、母斑細胞が多く存在するもの(大型のホクロ)は、多数の治療回数を要し、その結果、治療間隔が短いと本来持っている皮膚の色が白く抜ける可能性があります。また盛り上がったホクロは、Qスイッチ・レーザーで治療しても、あまり平らになることはありません。
今のところ、直径7mm以下のホクロが癌になったという報告はないのですが、癌化を心配するのであれば、レーザー治療よりは外科的に完全に取り除いた方が安心だと思われます。

Q.黒アザにはどのような治療を受ければよいのでしょうか?

A.治療は外科的に切除するのが普通です。切除したあとは縫い合わせるのですが、大きなものでは皮膚はあまりよらないので、2回以上に分けて縫い合わせる方法もあります。
また黒アザの皮膚の下にシリコンバッグを入れ、それを生理食塩水でふくらませて上部皮膚を伸ばす皮膚伸展術という方法があります。通常は2~3ヶ月ほど皮膚を膨らませた後に、バッグを除去し、黒アザを切除し、そこを縫い合わせます。皮膚伸展術により、皮膚がよらないような大きな黒アザも縫い合わせることができるようになります。
他には、黒アザを切除した欠損部に太ももやお尻の皮膚を切除して植える植皮術という方法もありますが、この場合は正常な太ももやお尻などにも傷跡が残ってしまいます。いずれにせよ手術療法は傷跡を残すという欠点があります。
もう一つの方法はレーザー治療で、黒アザの治療に使われるのはQスイッチ・レーザーです。このレーザーは色を持っている細胞だけを選択的に破壊するので、肌に傷を残すことはほとんどありません。しかし、色を持っている細胞が皮膚の深いところまで多数存在すると、何回もレーザー治療を繰り返さなければならず、生まれつきある黒アザでは数十回も治療を繰り返すことも稀ではありません。そこで、Qスイッチ・レーザーのような超短パルスレーザーではなく、パルス幅が長いレーザー(ロングパルスレーザー)で治療することもあります。ただしロングパルスレーザーは早く色を薄くしますが、レーザー照射による傷跡は目立つようになります。またQスイッチ・レーザーでも何回もレーザー治療を繰り返すと、黒アザばかりでなく、本来持っている皮膚の色も抜け、色が白くなることがあります。
また稀ではありますが、黒アザからホクロの癌(黒色腫)が生ずることがあります。手術療法は黒アザを全部取ってしまうので、そこから黒色腫が生ずることはありませんが、レーザー治療の場合は、色を薄くするだけなので、黒色腫になる可能性は依然として残ります。
以上を簡単にまとめると、癌化を心配するのであれば手術療法、美容面を優先するならレーザー療法ということになります。

Q.赤アザの治療法にはどのようなものがあるのでしょうか?

A.イチゴ状血管腫は自然に消失するため、原則として治療を行う必要がありませんが、他の血管腫に対しては、レーザー療法が第一選択となります。しかしレーザー療法が無効な赤アザは存在し、このようなものには手術療法しかありません。
赤アザの治療に使われるレーザーは、波長が577~585ナノメーター(赤血球のヘモグロビンに吸収される光)で、照射時間450マイクロ秒という非常に短い時間でレーザー光を照射するフラッシュランプ・パルス色素レーザーです。しかし、この波長の光は皮膚の奥深くには届かないため、深いところに存在する血管腫には効果がありません。従って海綿状血管腫など深部に存在する赤アザには手術療法か人工塞栓術などの方法で治療するしかありません。
また最近は、Vビームという色素レーザーも開発され、太い血管からなる血管腫には従来の色素レーザーより治療効果があります。ただしVビームの方が従来の色素レーザーより瘢痕を形成する可能性が高いため、Vビームには皮膚を冷却する装置がついています。しかし冷却装置がついているからといって瘢痕形成を完全に防ぐことはできません。
レーザー治療には痛みを伴うので、レーザー治療中にあばれてレーザー光線が目にはいる危険性があります。そのため、小児・乳幼児では全身麻酔が必要です。上記のレーザーは、昔使用されていたアルゴンレーザーと比べ瘢痕などの副作用は少ないのですが、レーザー光は皮膚の表面に存在するメラニンという黒い色素にも吸収されるため、皮膚に全く障害を起こさないわけではありません。つまり赤アザ用のレーザーはQスイッチ・レーザーよりは皮膚に瘢痕を作る可能性が高いので、何回かレーザー治療を行い、もうそれ以上色が薄くならない場合は、レーザー治療の限界と考え、それ以上のレーザー治療は中止すべきです。
また血管拡張性肉芽腫はレーザー療法ばかりでなく皮膚凍結療法も有効です。

Q.単純性血管腫に対してはどうすればよいのでしょうか?

A.単純性血管腫はポートワイン母斑とも呼ばれる生まれた時に存在する平らな赤アザです。自然に消えることはありませんので、レーザー治療の必要があります。時期はいつでもよいのですが、顔面や頭部に生じたものは成人になると盛り上がってくることがあるので、盛り上がる前にレーザー治療を行うべきです。また上まぶたに生じたものは、眼圧亢進のため視力障害をきたす可能性がありますので、できるだけ早く治療を行う必要があります。但し新生児期から乳児初期にかけて生ずる眉間、額の真ん中、上まぶたの内側、人中、うなじなどにみられる境界が不鮮明で、色調にむらのある隆起しない紅斑は正中部母斑と呼ばれ、単純性血管腫ではありません。正中部母斑は生後1年半以内に大部分は自然消退するので、治療を行う必要はありません。しかし、うなじに生じた正中部母斑はウンナ母斑と呼ばれ、その半数は消失しません。正中部母斑は新生児の20~30%にみられるので、正中部母斑の可能性があるものは生後1年半様子をみて、消退しないものに対してレーザー治療を行うのがよいと思います。
単純性血管腫に対するレーザー治療の効果は症例によって異なります。一般に顔面、頚部にあるものは70~80%の有効率ですが、四肢、特に下肢に生じたものは治療効果が悪いとの報告があります。従って最初に従来から使用されている赤アザ用の色素レーザーで治療を行い、もうそれ以上色が薄くならない場合に、Vビームという色素レーザーによる治療を受けた方がよいと思います。それでも色調の改善がみられない場合は、レーザー治療の限界と考え、それ以上のレーザー治療は中止すべきです。

 

 

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