限局性強皮症

限局性強皮症

限局性強皮症とは、手や足、体幹などの一部の皮膚や皮下組織が硬くなる自己免疫疾患の一種です。限局性強皮症には、皮疹が円状に現れる「斑状強皮症(モルフィア)」、皮疹が帯状の「線状強皮症」、皮疹が複数見られる「汎発型限局性強皮症」、頭や顔に刀で切りつけられたような皮疹が現れる「剣創状強皮症」があります。全身性強皮症とは異なり、内臓病変を伴いません。ただ、成人例では他の自己免疫疾患を併発していることが多い傾向にあります。子どもから高齢者までかかりますが、子どもや若者の発症が目立ちます。命にかかわる疾患ではありませんが、子どもが発症した場合は成長を阻害することがあるため、なるべく早く医療機関を受診しましょう。

症状

限局性強皮症は「限局した領域の皮膚に境界明瞭な硬化が出現する病気」です。病変は頭部、顔面、四肢、体幹など、全身の皮膚のどの部位にも生じ得ます。形状は円形~楕円形、線状~帯状などさまざまで、大きさも数cm程度のものから数10cmにおよぶものまで、多様性があります。硬くなった皮膚はやや光沢を帯びて黄色みがかって見えることが多いですが、色素沈着を伴って茶色っぽく見えることもあります。また、病変全体、あるいはその辺縁の部分が淡い紅色になり、わずかに熱感を伴うこともあります(炎症を反映しています)。全く自覚症状を伴わないものから、ピリピリとした痛みを断続的に感じるもの、衣類と擦れるだけでヒリヒリとした強い痛みを感じるものまで、自覚症状も非常に多彩です。頭皮や眉などの有毛部に病変が生じた場合、多くの場合は脱毛を伴います。
限局性強皮症は皮膚が硬くなる病気と説明しましたが、これは典型例の場合であって、実際にはあまり皮膚の硬さは目立たず、色素沈着(茶色っぽくなります)や色素脱失(白く色が抜けた感じになります)あるいは皮膚の萎縮(皮膚が薄くなります)のみで硬化がはっきりしない病変を呈することがあり、その外観は極めて多彩です。
限局性強皮症の病変は主に皮膚に生じますが、ときに深部まで病変がおよび、皮膚の下にある脂肪組織、筋膜、筋肉、腱、骨・関節、神経に病変がおよぶことがあります。脂肪組織に病変がおよぶと皮膚が少し陥凹した感じになります。筋膜・筋肉や腱・関節に病変がおよぶと、筋肉が突っ張る感じが出てきたり、関節が動かしにくい、あるいはまったく動かなくなってしまう場合があります。神経に病変がおよぶと、しびれや痛み、筋肉の部分的なけいれんなどが生じることがあります。また、頭頸部に病変が生じた場合、てんかん発作、脳波異常などの脳病変、ぶどう膜炎などの眼病変、歯列の乱れや歯牙萌出異常などの歯病変を伴うこともあります。このように、「皮膚が硬くなる」というイメージとは一見結びつかないような症状を呈することもありますので、注意が必要です。

治療

病状の程度によって治療法は異なり、ごく軽度で進行しない場合は治療を必要としないこともあります。ただし、再発を繰り返しながら個々の病変が拡大したり、病変の数が増えたりすることが多いのでその後の経過を見守る必要があります。治療をする際はステロイドや免疫抑制薬の塗り薬で対応することが多く、紫外線療法なども用いられます。強い炎症があり、筋肉や関節の機能障害が生じるあるいは進行する恐れがある場合などは、ステロイドや免疫抑制薬の内服薬を短期間使用することもあります。

 

限局性強皮症のよくある質問

Q.限局性強皮症は全身性強皮症の軽症型ですか?

A.限局性強皮症と全身性強皮症は病名が似ていますが、全く異なる別の疾患です。全身性強皮症は皮膚と様々な内臓の血管異常と硬化を特徴とする膠原病です。膠原病というのは難しい概念ですが、その特徴を簡単に一言で言うと「自己に対して反応する免疫の異常(自己免疫)により2つ以上の臓器が侵される病気」です。全身性強皮症では皮膚、肺、心臓、消化管などの臓器に硬化が生じます。皮膚硬化は指から始まり、手背から前腕へと、連続性に近位(体幹に近い側)に向かって進行します。皮膚硬化が体幹へと広範囲に及ぶほど内臓病変も重篤になることが知られています。また、血管の異常として、レイノー現象や手指潰瘍(手指にできる深くて治りにくい傷)が生じます。一方、限局性強皮症は「限局した領域の皮膚に境界明瞭な硬化が出現する病気」です。病変が深部に及ぶことで脂肪組織、筋膜、筋肉、骨・関節、神経などが侵されることがありますが、内臓病変は伴いません。皮膚のみが侵される単臓器疾患であり、膠原病の範疇には入りません(膠原病類縁疾患と呼ばれます)。手指の硬化はなく、レイノー現象などの血管の異常もないのが特徴です。全身性強皮症は内臓病変により生命予後に影響する疾患ですが、限局性強皮症は内臓病変を伴わないため、生命予後は良好です。

Q.限局性強皮症は全身性強皮症に移行しますか?

A.限局性強皮症が全身性強皮症に移行するということはありません。ただし、この2疾患が同一患者さんに発症すること(合併といい、移行とは異なります)が稀ながらあります。

Q.限局性強皮症は自己免疫疾患ですか?

A.限局性強皮症の病態は体細胞モザイクに対する自己免疫応答と考えられています。つまり、本来細菌やウイルスなどの異物に対して作用すべき免疫が自分自身に反応してしまう自己免疫疾患と考えられています。自己免疫があるかどうかのスクリーニング検査として抗核抗体検査がありますが、限局性強皮症では46-80%程度の患者さんで抗核抗体検査が陽性となります。一般に皮疹の範囲や重症度に比例して抗核抗体検査の陽性率が高くなることが分かっています。

Q.限局性強皮症は遺伝するのでしょうか?

A.限局性強皮症は遺伝しません。一方で、限局性強皮症の患者さんでは自己免疫疾患の家族歴が多いことが知られています。このことからも分かるように、自己免疫疾患を発症しやすい体質は遺伝する可能性があります。

Q.限局性強皮症ですが、妊娠・出産に影響はあるのでしょうか?

A.限局性強皮症が妊娠や出産に影響することは一般的にありません。なお、限局性強皮症には約30%程度の頻度で抗リン脂質抗体が陽性になることが知られています。抗リン脂質抗体の有無は血液検査で調べることができます。この抗体が陽性となる場合、習慣性流産の原因となる可能性があります。出産年齢の女性で事前に抗リン脂質抗体陽性が分かっている場合は、妊娠が判明した時点で産科と連携して慎重に経過を見ていく必要があります。
一方、妊娠を契機に限局性強皮症の症状が悪化する場合が稀ながらあります。妊娠中も限局性強皮症の経過を慎重に見ていく必要があります。

 

 

皮膚科の疾患

 

当院で掲載している疾患に関する説明は、患者さん並びにご家族の皆様に参考となる情報提供であり、全ての疾患の検査や治療を行えるわけではありません。

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