円形脱毛症

円形脱毛症

円形脱毛症は、その名の通り円形や楕円形に髪の毛が抜けてしまう脱毛症です。複数個所が脱毛する場合や、個々の脱毛箇所がくっついて広がり、すべての頭髪が抜ける場合などがあります。痛みなどはなく、突然一気に髪の毛が抜けることもあることから、自分では気づかず他の人からの指摘で気づくケースも多いのが特徴です。

円形脱毛症の原因

自己免疫疾患

円形脱毛症の原因として近年有力視されているのが、「自己免疫疾患」です。「自己免疫疾患」とは、外部からの侵入物を攻撃することで私たちの体を守ってくれている免疫系機能に異常が生じ、自分の体の一部分を異物とみなして攻撃してしまう病気です。
円形脱毛症は、Tリンパ球が毛根を異物と間違えて攻撃してしまうために発症すると考えられており、その激しい攻撃により毛根が傷んで、元気な髪の毛でさえ突然抜け落ちてしまうのです。しかしなぜその様な異常が生じてしまうのかは、まだ明らかになっていません。
また円形脱毛症は、橋本病に代表される甲状腺疾患、尋常性白斑、SLE、関節リウマチ、あるいは重症筋無力症などの各種自己免疫疾患と併発する場合があります。特に、甲状腺疾患は約8%、尋常性白斑は約4%の患者が、円形脱毛症を併発していると言われています。

アトピー素因

アトピー素因とは、アトピー性疾患(アトピー性皮膚炎、気管支炎、アレルギー性鼻炎のいずれか)を持っている人のことを言います。円形脱毛症患者の40%以上がアトピー素因を持つと言われ、半数以上が本人もしくは家族にアトピー素因が認められるなど、深い関連があるとされています。

精神的ストレスによる影響

円形脱毛症の発症要因のひとつとして、「精神的ストレス」が挙げられます。
精神的ストレスを受けると、それに抵抗するために交感神経が活発に動きます。交感神経は、心肺を早く動かしたり体温を上げるなどの働きがあり、身体がストレスと闘う準備をしてくれます。
このとき、ストレスが強すぎたり長く続いたりすると、交感神経に異常をきたします。その結果、血管を収縮させ、頭部への血流が悪くなり、毛根への栄養補給が行き届かなくなって脱毛が引き起こされると考えられます。
また、ストレスは、毛根への栄養補給を妨げるだけでなく、「自己免疫疾患」や「内分泌異常」などのさまざまな疾患を誘因することもあります。

遺伝的要素

中国で行われた大規模な調査によると、円形脱毛症患者の約8.4%に、同じ病気を抱えている家族がいると報告されています。それは親等が近いほど発症率が高く、欧米の調査でも、円形脱毛症患者の一親等の発症率は、二親等以上の家族の10倍におよぶという結果が出ています。このことから、円形脱毛症には遺伝的要因が関係する可能性が高いと考えられています。

出産後の女性ホルモン値の変化

妊娠から出産後における女性ホルモンの減少も、原因の一つと言われています。
妊娠中、体内の女性ホルモン値は通常の100倍以上に増加しています。それが、出産すると一気に通常値に戻ります。女性ホルモンには発毛促進の作用があり、逆に減少すると抜け毛につながることから、毛周期との関係で産後3~4ヶ月後に抜け毛が多くなります。
多くの場合は頭髪全体のボリュームが減る産後脱毛となりますが、このときに、円形脱毛症になることがあります。さらにアトピー素因を持つ場合、それが加速されやすいというデータもあります。
ホルモンバランスだけでなく、育児の忙しさによる食事の偏りや出産のストレスが原因になることもありますので、産後の抜け毛には特に気をつけることが大切です。

円形脱毛症の治療

円形脱毛症はコルチコステロイドにより治療することができます。脱毛部が小さい場合は、典型的にはその部分の皮膚の下にコルチコステロイドを注射するほか、ミノキシジルを脱毛部分に直接塗ることもあります。脱毛部が大きい場合は、コルチコステロイドを直接頭皮に塗りますが、まれに経口で使用することもあります。
このほかに円形脱毛症の治療として、化学物質(アンスラリン[anthralin]やジフェニルシクロプロペノン、スクアリン酸ジブチルエステルなど)を頭皮に塗って、その部分に刺激反応や軽いアレルギー反応を誘発する方法があり、ときに毛髪の成長を促進できます。これらの治療は通常、広範囲に脱毛があり、他の治療で効果が得られなかった人に行われます。
より重症の場合は、メトトレキサートの内服が必要になることがあります。この薬剤はコルチコステロイドの内服と併用されることもあります。ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬と呼ばれる薬は、他の自己免疫疾患や血液疾患の治療に用いられ、円形脱毛症の治療に有用である可能性があります。
比較的軽症の円形脱毛症であれば、ときに治療を行わなくても自然に治ることがあるため、自然に治るのに任せるという選択がなされる場合もあります。数カ月で毛髪が再び生えてくる患者もいます。広範囲に脱毛が生じている人では、毛が再生する可能性が低くなります。

円形脱毛症の早期発見のサイン

円形脱毛症になると、髪の毛の表面が荒れてくるので、ゴワゴワとした感触になってきます。チクチクする、ピリピリするなどの頭皮の違和感を感じることもあります。
ブラッシングなどで抜けた髪をチェックするのもおすすめです。見るポイントは、毛根がついているかどうかです。毛根がついていれば、生え替わりの毛なので、大丈夫ですが、毛根がついていないと、炎症によって髪の毛が抜けてしまっている可能性があります。

 

脱毛症のよくある質問

Q.ストレスは円形脱毛症の原因になりますか?

A.確かに何らかの精神的なストレスがあった後に脱毛がはじまる患者さんもいらっしゃいます。しかし、多くの方ではストレスと直接的な関係なく症状がはじまっています。精神的なストレスは原因というよりも、むしろ「きっかけ」つまり誘因のひとつとなりうるものであろうと考えられています。円形脱毛症の頻度は人種や社会情勢にも影響されません。また、患者さんの1/4は15歳以下で発症し、ストレスがあまりないはずの乳児、幼児にも重症の方がおられます。このことからも、世間で広く言われているような、「ストレスから円形脱毛症」というストーリーほど単純な話ではないことがわかります。多くの患者さんの遺伝的な背景を調べたところ、円形脱毛症になりやすい素因がありそうだということが最近わかってきています。
実際には多くの場合、円形脱毛症を引き起こす「きっかけ」は脱毛症状をみただけではわかりません。それぞれの方のお話をよく聞いて推測することとなります。ウイルス感染症や肉体的疲労、出産など、精神的ストレス以外がきっかけと考えられる方が多くおられます。円形脱毛症=精神的ストレスが原因、という従来の考え方は見直されています。何度も円形脱毛症を繰り返す方は、疑わしい「きっかけ」を少なくすることが再発予防につながる場合もあるでしょう。

Q.かつらは脱毛症の治療に影響しますか?

A.かつらによる治療への影響はありません。カツラを使用することで社会生活や学校生活などに前向きになれるなど良い影響を与えることもあります。それぞれの患者様の状況に合わせて選択すべきものと思われます。

Q.ヘアスタイルと脱毛症の関係はありますか?

A.髪の毛が強くひっぱられるような髪型を習慣的に行うことで髪の毛が抜けることがあり、牽引性脱毛症と呼ばれています。ポニーテールや編み込み、三つ編み、お団子など一定の髪型を続けることで起こりやすく、特に前髪を後ろにひっぱるような髪型を長期間続けることで生え際の髪が抜けやすくなってしまいます。エクステンションやヘアアイロンなどの習慣も毛が引っ張られる力が加わるため、強さによっては原因となることがあります。
牽引性脱毛症は初期の段階であれば原因となっている髪型をやめることで元に戻りますが、長時間続くことで髪の毛をつくり、支える土台となる毛包まで障害を受けると永久的に髪が生えてこなくなることがあります。そのため早めに原因に気づき、皮膚科に相談して髪型やヘアケア習慣を変えたり工夫したりすることが大切です。

Q.他の病気と関連する脱毛はありますか?

A.皮膚だけでなく、毛も内臓の状態を映す鏡のようなもの、という考え方があり、実際に他の多くの病気に関連する脱毛症が知られています。
例えば、エリテマトーデスに代表される膠原病の一症状として脱毛が認められることがあります。また、毛の成長には多くのホルモンやミネラルが関与していることが分かっており、甲状腺機能低下症、副腎皮質機能不全症や亜鉛欠乏症などで脱毛を生じえます。さらに、さまざまな感染症による脱毛症もあり、代表的なものとして、白癬菌が毛に感染して脱毛を生じるケルスス禿瘡や梅毒に伴う脱毛症などが挙げられます。
エリテマトーデスの脱毛やケルスス禿瘡では、治療開始が遅れると脱毛部の皮膚が線維化して硬くなり永久に毛が生えなくなってしまうので(瘢痕性脱毛)、早期診断・早期治療が極めて重要です。
また大きな手術、重症の感染症、妊娠、過激なダイエットなどの後に、毛の抜けかわりが影響をうけ、抜け毛増える休止期脱毛という現象も知られています。

 

 

皮膚科の疾患

 

当院で掲載している疾患に関する説明は、患者さん並びにご家族の皆様に参考となる情報提供であり、全ての疾患の検査や治療を行えるわけではありません。

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