無汗症

無汗症

運動をした時とか暑くて湿度の高い環境にいても汗をかくことができない病気を無汗症といいます。無汗症には、生まれつき遺伝する 先天性 無汗症のほか、大人になって後天性(生まれつきではない)に発症する後天性無汗症があります。特発性後天性全身性無干症は、後天的に明らかな原因がなく汗をかくことができなくなり血圧が低くなるなどの他の自律神経異常および神経学的異常を伴わない疾患と定義されています。患者さんは体温調節に重要な汗をかくことが少なくなるので、運動や暑いところで簡単に体温が上昇して熱中症などになりやすくなります。

無汗症の原因

汗腺の機能異常と考えられており、下記のような機序が考えられています。

1)発汗神経障害

汗腺支配の皮膚交感神経活動が低下しています。障害部位(①視床下部②延髄・脊髄③交感神経節前・節後遠心性神経)によって症状が異なります。

2)特発性純粋発汗不全

発汗運動神経末端からの放出されるアセチルコリンは正常または亢進していますが、汗腺のコリン受容体が不応のために生じると考えられています。コリン受容体の発現異常や受容体に対する自己抗体などの自己免疫機序が推察されています。

3)特発性汗腺不全

長期間の発汗神経障害やIPSFによる無汗症の二次的変化によって、汗腺自体の組織変性が生じる可能性、また、原発性に免疫的な破壊などが選択的に汗腺に生じて無汗を呈する可能性も考えられています。従って、多くの病態が混在している可能性があります。

無汗症の治療

熱中症を避けるために、暑熱環境つまり蒸し暑い環境や状況からの回避、運動を制限すること、体の冷却(例えば冷房を上手に使用する、衣類の調節、クールベストやクールマフラーの着用、保冷剤を携帯して頚や腋窩、鼡経部を随時冷やす、ペットボトル水の携帯など)についての生活指導を行います。それでも熱中症をおこしたことがあるか、その危険性が高い、もしくは生活や仕事に大きな支障をきたす場合には治療の対象になります。
治療として推奨されているのはステロイドの全身投与です。エビデンスレベルは高くありませんが、多数の有効例の報告があることから推奨されています。
投与方法としては点滴パルス療法単独、内服療法単独、点滴パルス療法後に内服療法を行うものなどがありますが、これらいずれが良いのか、投与量やパルス療法施行回数については明確なエビデンスはなく、決められた方法もありません。また発症後長期間を経た例や、汗腺組織の変性がみられる例では反応が悪いとの見解もあります。
ステロイドが無効な例ではシクロスポリン投与も試みる価値はあります。しかし報告症例は限られています。さらに柴苓湯、塩酸ピロカルピン、温浴療法などを試みられています。

 

無汗症のよくある質問

Q.患者さんはどのくらいいるのですか?

A.令和元年度末の特定医療費(指定難病)受給者証所持者数は全国で243名と非常にまれな病気です。実際は病院に受診していない患者さんもいてもっと多いと考えられています。

Q.この病気はどのような人に多いのですか?

A.欧米人より日本人のほうが圧倒的に多いと考えられています。また、10-30歳代の若い男性に多いとされています。

Q.この病気の原因はわかっているのですか?

A.原因はまだわかっていません。汗を出す汗腺(かんせん)という器官のアセチルコリン受容体にアセチルコリンという 神経伝達物質 が結合することにより汗が出ます。このアセチルコリン受容体に異常があることが原因のひとつといわれています。

Q.この病気は遺伝するのですか?

A.遺伝はしません。

Q.この病気は日常生活でどのような注意が必要ですか?

A.運動したり暑くて湿度の高い環境に長くいたりすると熱中症になることがありますので運動はできるだけ避け涼しい環境でいるよう心がけることが重要です。その他、クールベストの着用、ペットボトル水の携帯など体を冷却することを心がけるようにする事も大切です。

 

 

皮膚科の疾患

 

当院で掲載している疾患に関する説明は、患者さん並びにご家族の皆様に参考となる情報提供であり、全ての疾患の検査や治療を行えるわけではありません。

病名・部位・キーワードから病気を調べる(ヘルスケアプラットフォーム:Medicalnote)

関連記事

最近の記事 おすすめ記事
  1. 登録されている記事はございません。
  1. 疥癬

  2. 生活習慣病について

  3. 睡眠時無呼吸症候群

カテゴリー

アーカイブ

検索

TOP
TOP