魚鱗癬

魚鱗癬

魚鱗癬は全身の皮膚が乾燥して、皮膚がうろこ状になったりフケが剥がれ落ちたりする状態のことを言います。魚鱗癬には先天性(遺伝)のものもあれば、病気や薬によって発症する後天性のものもあります。先天性魚鱗癬は、原因遺伝子や症状、罹患部位(皮膚のみか、全身症状を伴うか)などによってさまざまな種類のものがあります。遺伝子の変異は通常は親から子へと伝わりますが、自然発生的に生じることもあります。先天性魚鱗癬は出生時に発症することも、乳児期や小児期に発症することもあります。

先天性(遺伝性)魚鱗癬

尋常性魚鱗癬

常染色体優性遺伝形式を取ります。生まれたときは症状はありませんが、乳幼児期になってから発症します。ほぼ全身の皮膚が極度に乾燥し、特に四肢の伸側(腕の外側)と下腿の前面(太腿や脛)に強くでます。肘窩・膝窩・外陰部には皮疹が生じません。皮膚症状は夏に軽快し、冬に増悪。汗がほとんど出ない場合が多いため、体温調節が難しく、夏場は熱中症になりやすく、冬は角化による亀裂によって歩行に支障をきたす場合があります。また、成人になると自然軽快する場合もあります。アトピー性皮膚炎を合併することがあり、治療はサリチル酸ワセリン・尿素軟膏・ビタミンA軟膏を使用します。

伴性遺伝性尋常性魚鱗癬

男児のみで生まれたときは症状はないですが、乳幼児期になってから発症します。肘窩・膝窩にも発疹が生じるという違いがあります。

水疱型先天性魚鱗癬様紅皮症

全身が赤くなり、古い皮膚が厚い鱗状に角化し硬くてごわごわした水疱をともなうのが特徴です。ウイルスなどから体を守る皮膚機能の低下で、感染症にかかりやすく体温調節も困難です。水疱がないものは「非水疱型先天性魚鱗癬様紅皮症」と言い、30万- 50万人に1人がかかるとされています。

葉状魚鱗癬

非水疱型先天性魚鱗癬様紅皮症の一つで、トランスグルタミナーゼ1遺伝子の変異により起こります。

道化師様魚鱗癬

常染色体劣性遺伝形式を取っており生まれたときより発症します。生まれたとき、菱形にめくれた皮膚が道化師(アルレッキーノ)の衣装を連想させるため、「道化師様胎児(collodion baby、Harlequin disease)」と呼ばれることがあります。近年までは脱水、感染症、呼吸困難などにより生後数日以内に死亡する重篤な遺伝病でしたが、レチノイド投与など治療法の進歩により生存率は向上しています。

後天性魚鱗癬

ホジキン病・菌状息肉症・悪性リンパ腫などの悪性腫瘍、ビタミン欠乏症などの栄養障害、透析患者、甲状腺機能低下などが原因で生じ、遺伝はしません。

魚鱗癬の治療

後天性魚鱗癬については、原因になっている基礎疾患を治療するか、魚鱗癬の原因になっている薬の使用を中止します。他の治療法としては、保湿剤により皮膚の水分を保持することや、皮膚の乾燥を避けることがあります。
ワセリン、鉱物油、サリチル酸、乳酸、乳酸アンモニウム、セラミド、または尿素を含む保湿剤を、入浴後すぐの皮膚がまだ湿っている間に塗ります。余分な保湿剤は、タオルでポンポンとたたくようにして取り除きます。
成人では、プロピレングリコール水溶液を入浴後に患部に塗ると鱗屑を取り除くのに役立ちます。その後、患部をラップやビニール袋で一晩中覆っておきます。この溶液は小児にも1日2回塗ることができますが、ラップは使用しません。
遺伝性魚鱗癬については、レチノイドであるトレチノイン、経口イソトレチノイン(isotretinoin)、経口アシトレチン(acitretin)など、ビタミンAに関連する物質を含有するクリーム剤または錠剤が、皮膚から大量の鱗屑を落とすのに有用です。細菌感染症のリスクがある場合は抗菌薬の内服薬を投与することがあります。

 

先天性魚鱗癬のよくある質問

Q.この病気の患者さんはどのくらいいるのですか?

A.約200人です。

Q.この病気はどのような人に多いのですか?

A.特にかかりやすい人があるわけではありません。病型により遺伝形式は異なりますが、 常染色体潜性遺伝(劣性遺伝) 性 の病型では、血族結婚で発症率が高くなります。

Q.この病気は遺伝するのですか?

A.はい、遺伝性の病気です。病型によって、常染色体潜性遺伝(劣性遺伝)、常染色体顕性遺伝(優性遺伝)、X連鎖性潜性遺伝(劣性遺伝)、X連鎖性顕性遺伝(優性遺伝)などの遺伝形式をとります。

Q.この病気にはどのような治療法がありますか?

A.現在のところ、根治療法はありません。皮膚症状に対しては、保湿剤やワセリン等の外用による対症療法を行います。重症例では、新生児期は、輸液・呼吸管理、正常体温の維持、皮膚の感染のコントロール等の保存的治療を行います。新生児期からのレチノイド全身投与を行うこともあります。

Q.この病気はどういう経過をたどるのですか?

A.ごく一部の重症例で新生児期、乳幼児期に死亡することがあります。学童期に至るまでに症状が軽快する例もありますが、多くの症例で生涯にわたり症状は持続します。

Q.この病気は日常生活でどのような注意が必要ですか?

A.発汗障害があるため高体温になりやすく、特に夏季には体温の異常な上昇に注意が必要です。室温、衣服のこまめな調節が重要です。鱗屑 として失われる蛋白量を考慮して、十分な栄養を摂取するように気をつけましょう。
本症の病態の本質は、皮膚バリア不全であることを理解し、保湿に努めることも大切です。厚く堆積した鱗屑は剥がしたり、こそげ落とすことにより、整容上、機能上、有益な場合もありますが、無理には剥がさないようにしてください。2次的に細菌感染をおこす場合も多いので、毎日の入浴で、皮膚表面を清潔に保ち、かつ、入浴により弱まる皮膚バリア機能を入浴後の保湿剤などの外用で補うようにしましょう。

 

 

皮膚科の疾患

 

当院で掲載している疾患に関する説明は、患者さん並びにご家族の皆様に参考となる情報提供であり、全ての疾患の検査や治療を行えるわけではありません。

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