褥瘡

褥瘡

褥瘡は、以前は「褥創」と表記されていましたが、現在は「褥瘡」の表記が一般的です。「創」は「キズ」を、「瘡」は「できもの」を意味します。褥瘡を単なる「創(キズ)」としないで、「瘡」と表記することになったのは、褥瘡の成り立ちに大きな意味があるからです。
日本褥瘡学会では、褥瘡を次のように定義しています。
「身体に加わった外力は骨と皮膚表層の間の軟部組織の血流を低下、あるいは停止させる。この状況が一定時間持続されると組織は不可逆的な阻血性障害に陥り褥瘡となる。」
つまり、外力がかかることで骨によって圧迫された組織が障害された状態が褥瘡です。さらに、圧迫には垂直方向に圧縮する力だけでなく、「引っ張り応力」「せん断応力」といわれる圧力がかかっています。それらによって組織に「ずれ力」がはたらき、組織障害が助長されるのです。

危険因子

褥瘡の危険因子としては以下のものがあります。
年齢65歳以上(皮下脂肪および毛細血管血流の減少が原因の可能性がある)
体動の減少(例,長期入院,床上安静,脊髄損傷,鎮静,自発運動の減少につながる筋力低下,認知障害などによるもの)
皮膚刺激物に対する曝露(例, 尿失禁および/または 便失禁によるもの)
創傷治癒能力の障害(例, 低栄養, 糖尿病, 末梢動脈疾患による組織灌流障害,不動状態, 静脈不全によるもの)
感覚障害

できやすい部位

褥瘡ができる部位(好発部位)はほぼ決まっており、2つの相反する方向の力が皮膚と軟部組織を圧迫する部位です。具体的には、生体内の大きな骨と床から挟まれる部位であり、仙骨部(臀部の正中部)、坐骨部(座った際に臀部の骨が突出する部位)、大転子部(大腿部の骨が突出する部位)、踵部(足底)、腸骨稜部(骨盤前部の骨が突出する部位)です。

予防法と治療法

褥瘡は数時間と短い時間で発症しますが、治療は長い時間がかかる病気です。従って、予防が非常に大事です。具体的には体位変換を理想的には2時間ごとに行う、クッションや体圧分散寝具を効果的に利用する、栄養の評価を行い改善する、スキンケアを行う、等になります。
不幸にして褥瘡を発症した場合は、適切な治療をしないと発熱や倦怠感が出て全身状態が悪化しますので、形成外科の受診をお勧めします。
治療は全身管理と局所管理の双方からのアプローチが大切です。形成外科では、全身管理は基礎疾患の治療だけでなく、栄養管理、リハビリテーション管理が求められます。通常は複数の専門家と連携して管理を行っていくことになります。褥瘡部の局所管理は形成外科で行います。デブリードマン(壊死組織の除去)を行うことで感染対策と病態の適切な評価を行います。また、病態時期と重症度に応じて適切な軟膏や創傷被覆材を選択することで、良好な肉芽が得られるように治療していきます。
手術により創(きず)が必要になる場合もあります。具体的には皮弁(厚みのある組織で褥瘡部を覆います)や皮膚移植(植皮と呼びます)等が選択されますが、適切な手術方法をご家族や患者さんとともに考えていきます。

 

褥瘡のよくある質問

Q.おしり以外にも褥瘡(床ずれ)はできますか?

A.褥瘡(床ずれ)はおしり以外にもできます。おしり以外でも、骨が突出していて、ベッドのマットや布団、車いすなどで圧迫されているところが褥瘡(床ずれ)ができやすい部位です。鼻、胃瘻(いろう)用などのカテーテルによる圧迫にも注意が必要です。

Q.褥瘡(床ずれ)が治るまでにどれくらいかかります?

A.褥瘡(床ずれ)が治るまでの期間は、患者さんの体の状態や褥瘡(床ずれ)の傷の状態により違います。浅い褥瘡(床ずれ)の傷は1ヵ月ほどで治りますが、深い褥瘡(床ずれ)の傷は数ヵ月から1年以上かかることもあります。

Q.褥瘡(床ずれ)ができたかどうかを見分ける方法はありますか?

A.皮膚が赤くなっている場合、それが一時的なものか褥瘡(床ずれ)なのかを見分ける必要があります。最も簡単なのは、赤くなった部位が圧迫されない姿勢にして、約30分後に赤みが消えているかどうかを観察する方法です。赤みが残っていれば褥瘡(床ずれ)の可能性がありますので、すぐに医師または看護師に相談しましょう。

Q.褥瘡(床ずれ)ができていても入浴できますか?

A.原則的に入浴してもかまいません。入浴することで血行がよくなるうえに、褥瘡(床ずれ)の傷をシャワーなどで十分に洗うことは褥瘡(床ずれ)の治療にも効果があります。全身の状態が安定していれば、積極的に入浴するようにしましょう。
また、傷のまわりを石けんやボディシャンプーで洗う場合は、傷に石けんやボディーシャンプーがなるべく入らないように注意しましょう。ただし、万が一入っても心配ありません。
湯船につかるときは、傷によってお湯が汚れるのを防ぐために、傷を防水性のドレッシング材(被覆材)でカバーしましょう。最後にドレッシング材(被覆材)をはがして傷にシャワーをかけます。

Q.体の向きや姿勢は何時間ごとに変えればいいですか?

A.横になっている場合は、2時間ごとを目安に体の向きや姿勢を変える体位変換が推奨されています。患者さんと介護者の生活リズムに合わせて体位変換をするようにしてください。特に夜間の体位変換は、介護者の就寝前、起床などに合わせて行うと負担を軽減できます。
座っている場合は、自分で体を動かすことができる患者さんでは15分ごと、自分で体を動かすことができない患者さんでは30分から1時間ごとに座りなおしを行うことが推奨されています。
ただし、患者さんのやせている程度、むくみの有無、体圧分散用具の使用の有無およびその機能の程度など、複数の要因が関係するため、何時間ごとの体位変換がよいかは患者さんによって違います。医師や看護師などと相談して体位変換スケジュールを立てましょう。

Q.尿失禁、便失禁は褥瘡(床ずれ)に影響しますか?

A.失禁により尿や便が皮膚に長く触れていると、皮膚にふやけやかぶれ、ただれが起きやすくなり、皮膚が傷つきやすくなります。その結果、褥瘡(床ずれ)になりやすくなりますので、皮膚に尿や便が長い時間ついたままにしないようにしましょう。

Q.褥瘡(床ずれ)の傷が治ったらどのタイミングでケアをやめてもいいですか?

A.傷が治ってもケアやお薬をいつまで続けるかは、自己判断せずに医師や薬剤師などに相談しましょう。
また、褥瘡(床ずれ)の再発を予防するために、体の表面に加わる圧力を分散させるケアや体の姿勢や向きを変えるケアは続けていくことが大切です。医師や看護師から、再発を予防するケア方法の指導を受けましょう。

Q.褥瘡(床ずれ)の傷は乾燥させたほうがいいですか?

A.褥瘡(床ずれ)の傷は乾燥させるより、適度な湿り気を保つほうが早く治ります。
傷の部分では傷を治すための物質が細胞から出ています。この物質が有効に利用されるために、傷口をドレッシング材(被覆材)で保護し、適度な湿り気を保つことが必要です。
ただし、褥瘡(床ずれ)の傷の状態によって治療方法は異なりますので、医師や看護師から正しい治療方法の指導を受けましょう。

Q.褥瘡(床ずれ)の治療で入院は必要ですか?

A.褥瘡(床ずれ)ができても必ず入院が必要なわけではありません。
患者さんの体の状態や褥瘡(床ずれ)の傷の状態によっては、自宅で治療・ケアをすることができます。入院が必要かどうかを医師や看護師と相談してください。

 

 

皮膚科の疾患

 

当院で掲載している疾患に関する説明は、患者さん並びにご家族の皆様に参考となる情報提供であり、全ての疾患の検査や治療を行えるわけではありません。

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