親知らずの抜歯

親知らず(智歯)は歯肉や骨の中に埋まって、彎曲や肥大など歯根の異常をともなっていることが多く、抜歯は困難で専門的な術式が必要です。

充分に経験を積んだ歯科医師によって、慎重に手術を行いますが、それでも術後に著しい痛みや腫れなどの不快症状を生じることがあり、注意が必要です。

 

親知らず抜歯の必要性について

  • 親知らずが傾斜したり骨に埋まっている。
  • 手前の歯(第二大臼歯)との間に食片が入りムシ歯や歯周炎の原因になっている。または、なる可能性があり、親知らずを抜歯しないでいるとムシ歯が進行して将来第二大臼歯も抜歯になる可能性がある。
  • 親知らずのまわりに汚れがたまり、歯肉に炎症を起こしている。
  • 親知らずのまわりに膿の袋ができて骨を吸収している。
  • 歯列不正の原因になっている。将来その可能性がある。

 

抜歯の術式 (埋まっている場合)

①麻酔 ➔ ②切開する ➔ ③骨を削除する ➔ ④歯を分割する ➔ ⑤抜歯 ➔ ⑥縫合する

※状況に応じて、骨や歯を削ずらなかったり、歯肉を切らなかったり、術式を選択致します。

 

CTを撮影しながら、安全に歯を抜く

手術時間は30~60分間です。手術中の状況により術式が変更になることがあります。術後に鎮痛剤と抗菌剤の薬を処方します。抜歯の翌日に洗浄処置、7 日以降に縫合糸を取ります。歯根と顎の神経の位置関係を詳しく見るため、CT検査を受けてもらうこともあります。

術後に以下の症状が出ることがありますが適切な処置をいたします。

  • 痛み
    約2~7日間あります。
  • 頬の腫れ
    約2~7 日間あり、口が開きにくくなったり食事が取りづらくなることがあります。
  • 出血
    にじむような出血がありますが心配はいりません。量が多い時はガーゼを約20分かんで下さい。
  • 内出血
    頬に紫色や黄色のあざが出ることがありますが、約2週間で消失します。
  • 下唇の知覚麻痺
    下顎の親知らずの歯根と顎の神経が接している時には、下唇やその下のオトガイ部に麻酔が効いた様なしびれ感がまれに残ることもあります。ほとんどの場合、神経に作用する薬を飲むことで 1~3 ヶ月で回復しますが、まれに数年間ごく軽いしびれ感が残ることもあります。下唇の知覚麻痺のデータ上での発現率は 0.4~5.5%、6 ヶ月後にも認めていたのは全体の 0.05%と報告されています。
  • 舌の知覚麻痺
    麻酔時に注射の針先が舌の神経を刺激して、まれに舌にしびれが出ることがあります。
  • 治りの不良
    抜歯した場所には血液が固まり傷口をふさいでくれますが、うがいをしすぎて血液のかたまりがとれたり、食物が入ってしまい治りが悪くなって痛みが出ることがあります。
  • 感染
    まれに感染を起こし痛みや腫れが生じることがあります。その場合は効果のある抗菌剤や点滴が必要となります。
  • 発熱
    まれにでることがあります。抜歯当日は、無理はせず体を安静にして早目にお休みください。

 

抜歯後の注意事項

  • 痛みは術後の1-2日がピークで、1週間ほど続くことがあります。
  • 翌日、翌々日に遅れて腫れることがあります。
  • 再び出血するおそれがありますので、抜いた部分については、あまり強い刺激を与えないようにしてください。
  • 麻酔がかかっている内は、ヤケドなどに気を付けるようにして下さい。
    (お食事が不安なときは、麻酔が切れてから召し上がって下さい)
  • 本日は、運動・湯船に長く浸かる等、血の巡りが良くなることは避けて下さい。
  • 著しい出血があった場合は、固くたたんだガーゼか、キッチンペーパーなどを噛んで、20分ほど圧迫止血を行って下さい。
    (じんわりにじむ程度の出血であれば、様子を見ていただいて構いません)
  • 一週間程度は、強いうがいを避けてください。血の塊が取れて、治りが悪くなる場合があります。
  • 処方されたお薬は、指示通りに内服して下さい。
  • 喫煙は術後感染のリスクを高めますので、禁煙を強く推奨します。
  • 縫合をした場合は、7-14日の間で、抜糸を行う必要があります。
  • 下の歯を抜いた翌日、下唇がしびれている場合は、担当医にお申し付け下さい。
  • 上の歯を抜いた翌日、鼻血が出たり、水が鼻に回る感じがある場合も同様に、担当医にお申し付け下さい。

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