神経線維腫症1型

神経線維腫症1型

神経線維腫症1型は出生時からカフェ・オ・レ斑と呼ばれる色素斑が増え、学童期から神経の神経線維腫やびまん性神経線維腫が、思春期から皮膚神経線維腫が生じます。その他にも、患者さんによっては神経、骨、眼などに多彩な症状を呈します。しかし、それぞれの患者さんに全ての症状がみられるわけではありません。
1882年にドイツのFriedrich Daniel von Recklinghausenにより初めて学会報告されたため、「レックリングハウゼン病」とも呼ばれています。

神経線維腫症1型の症状

皮膚の症状

体にカフェ・オ・レ斑が複数見られます。また限られた範囲(首もとなど)にびまん性神経線維腫ができることもあります。思春期頃からは、皮膚や皮下のおできの様な盛り上がり(皮膚神経線維腫)が見られます。これらは基本的に良性ですが、もし急に大きくなったり痛みを伴う場合には悪性化の恐れもがあるので早めに診察を受けましょう。

目の症状

眼球のある頭蓋骨のくぼみ(眼窩)や両方の視神経が交わる所の腫瘍(視神経腫瘍)などができることもあります。視力の低下や失明に繋がることもあるため 7 歳頃までは MRI 検査や眼科で定期的にチェックしましょう。

骨の症状

まれに生まれつき骨の変形(特にひざ下の長い骨)が見られます。初診時にレントゲンで確認します。また成長に伴い、背骨がゆるく曲がることがあります(脊椎彎曲)。診察時に確認しながら、必要に応じてレントゲン検査などを行い診ていきます。

高血圧

高血圧を認める事があるので、就学時以降は血圧もチェックしましょう。腎臓などの動脈狭窄が原因の場合もあります。

学習・発達面

学習や発達面において注意が必要な場合があります。3 歳および 6 歳時には発達・心理テストを行い、必要によっては療育をおこなっていきましょう。

神経線維腫症1型の原因

NF1の原因遺伝子は、17番染色体の17q11.2という位置に存在する「NF1遺伝子」であるとわかっています。この遺伝子は「ニューロフィブロミン」というタンパク質の設計図となる遺伝子です。ニューロフィブロミンは、神経細胞や、神経細胞を取り巻く「ミエリン鞘」を形成する、オリゴデンドロサイトやシュワン細胞などで産生されます。ニューロフィブロミンは、Rasというタンパク質の働きを抑えることで、細胞の増殖を抑制する働きをもつと考えられています。NF1遺伝子に変異があると、このブレーキが外れ、細胞の増殖や分裂が速くなったり、細胞分裂が制御できなくなったりして、さまざまな症状を起こすと考えられています。
NF1は常染色体優性遺伝形式で、親から子へ遺伝します。変異したNF1遺伝子を持っていた場合、ほぼ100%がNF1を発症するため(浸透率100%といいます)、両親のどちらかがこの病気だった場合、子どもが病気を発症する確率は50%となります。ただし、患者さんの半数以上は、親から遺伝するのではなく、子どもに新たな変異が起こり発症しています(このような発症パターンは、孤発例といいます)。

神経線維腫症1型の治療

現時点では病気の発症を未然におさえる根本的な治療法はありません。そのため,でてきた症状に応じた治療が行われています。皮膚の病変であれば皮膚科や形成外科の先生,発達や成長の心配があれば小児科の先生,骨の病変は整形外科の先生など各領域の専門の先生と相談して治療法を決めています。皮膚の色素斑はあまり目立ちませんが,希望があればレーザー治療などを行うことがあります。ただし,いったん色が薄くなっても再発することが多く,逆に色が濃くなってしまうこともあります。皮膚の神経線維腫は気にならなければ無理に治療する必要はありませんが,気になる場合は手術でとることができます。通常,数が少なければ局所麻酔で多ければ全身麻酔のもとで手術が行われます。その他、骨や神経系などになんらかの症状がでれば,なるべくはやめに専門の医師の診察を受けることが大切です。この病気には治療の難しい症状もあるため,主治医の先生ともよく話し合った上で,場合によってはNF1に詳しい医師に相談することも必要です。この病気に対して海外ではいろいろな薬を使って臨床試験が行われていますが,すべての人に効果があるわけではなく,現在日本で使用が認められている薬はありません。

 

神経線維腫症1型のよくある質問

Q.この病気の患者さんはどのくらいいるのですか?

A.この病気は出生約3,000人に1人の割合で生じます。過去に行われた調査により,日本での患者数は約40,000人と推定されています。

Q.この病気は遺伝するのですか?

A.NF1は常染色体顕性(優性)の遺伝性の病気であり,浸透率はほぼ100%のため,両親のどちらかがこの病気の場合には子供に遺伝する確率は常に50%となります。ただし,患者さんの半数以上はご家族にこの病気がないにもかかわらず発症しています。

Q.神経線維腫症1型と2型はどこが違うのですか?

A.神経線維腫症2型は22番染色体にあるシュワノミンというたんぱく質をつくる遺伝子に異常がおきると発症します。そのため両者は全く別の病気であり、症状も違います。神経線維腫症2型という名前がついていますが、2型では神経線維腫ができることはありません。

Q.日本で神経線維腫症1型の遺伝子診断を受けたいのですが、神経線維腫症1型の遺伝子診断は保険適用で行えますか?

A.日本ではレックリングハウゼン病の遺伝子診断は保険適用外(全額自己負担)のため、通常は患者さんの症状をもとに診断が行われています。

 

 

皮膚科の疾患

 

当院で掲載している疾患に関する説明は、患者さん並びにご家族の皆様に参考となる情報提供であり、全ての疾患の検査や治療を行えるわけではありません。

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