ケロイドは、皮膚の傷跡部位に生じる異常な腫瘤(しゅりゅう)であり、一般的には肥厚性瘢痕(ひこうせいはんこん)の一種とされています。ケロイドは、傷跡部位における過剰な線維芽細胞(せんいがさいぼう)の増殖によって形成されます。ケロイドは、色素沈着を伴う肥厚性の瘢痕で、炎症や感染がない場合に形成されます。病的には、瘢痕形成が正常に進行しなかった結果、瘢痕が肥厚してできるものと考えられています。
ケロイドの症状は、赤みがかった硬い塊状の腫瘤で、痒みや痛みを伴うことがあります。ケロイドは、しばしば傷跡の周囲を越える大きさにまで肥厚し、外観的にも目立つようになります。ケロイドは、顔、胸、耳、肩、上腕、腰などの部位にできやすく、妊娠中の女性や黒人など、特定の人種や性別に多く見られる傾向があります。
ケロイドは、一般的に外傷や手術、火傷、ニキビ跡などの傷跡部位に形成されます。また、膠原病やアレルギー性皮膚炎などの疾患によっても引き起こされることがあります。ケロイドは、治療しない限り、自然に消失することはほとんどありません。さらに、治療によってケロイドが再発する可能性があるため、治療には注意が必要です。
ケロイドの治療方法には、以下のようなものがあります。
1.手術
ケロイドを取り除く手術を行うことがありますが、手術によってケロイドが再発する可能性があるため、手術による治療は慎重に行われる必要があります。
2.放射線療法
放射線療法は、ケロイドの再発率を減らすことができます。しかし、放射線療法は、放射線の影響によってケロイド周辺の皮膚が炎症を起こすことがあるため、注意が必要です。
3.レーザー治療
レーザー治療は、ケロイドの肥厚部位を焼き切ることによって治療を行います。レーザー治療は、短時間で治療が終わるため、病院通いの負担を軽減することができます。
4.薬物療法
ステロイド剤を塗布することによって、ケロイドの肥厚を抑えることができます。また、抗がん剤などの薬物を使用することもあります。
5.圧迫療法
ケロイド部位に圧迫をかけることによって、瘢痕が軟化し、肥厚が改善されることがあります。圧迫療法には、シリコン製のシートを使用する方法や、弾性ストッキングを使用する方法があります。
治療方法は、患者の状態に合わせて適切なものを選択する必要があります。また、治療の選択肢は限られており、完全に治すことができるわけではありません。そのため、ケロイド予防が重要です。
ケロイドを予防するためには、以下のような方法があります。
1.傷跡の早期治療
傷跡ができたら、早期に治療を行い、傷跡を小さくすることが大切です。
2.傷跡を保護する
傷跡を保護するために、傷跡部位を繊維素材で覆うことがあります。また、太陽光線から傷跡を保護することも重要です。
3.ストレスを減らす
ストレスがケロイドの原因となることがあるため、ストレスを減らすことが重要です。
4.健康的な生活習慣を維持する
健康的な生活習慣を維持することで、皮膚の健康を保ち、ケロイドの予防につながることがあります。
以上が、ケロイドについての説明です。ケロイドは、適切な治療が必要な疾患であると同時に、予防が重要であることを理解し、適切なケアを行いましょう。
また、ケロイドは治療を行っても再発することがあります。そのため、治療後も定期的に病院を受診し、再発を防ぐためのケアを続けることが大切です。
最後に、ケロイドは治療が難しい疾患であることを再度強調しておきます。治療方法によっては、ケロイドの肥厚を改善することができますが、完全に治すことは難しい場合があります。そのため、予防に力を入れ、早期治療を心がけることが重要です。
Q&A
- ケロイドとは何ですか?
ケロイドは、傷や手術の跡に現れる、腫れや赤みを伴う、異常な皮膚の増殖です。通常の傷跡や手術の跡とは異なり、ケロイドは皮膚の外側に伸びています。 - できる原因は何ですか?
正確な原因は不明ですが、遺伝的な要因や、傷の深さや大きさ、場所、炎症、過剰なコラーゲン生成、そして酸素不足などの外的要因が関与しているとされています。 - 予防する方法はありますか?
予防には、傷口を清潔に保ち、傷口に適切な治療を行うことが重要です。手術前に予防措置を講じることもできます。また、遺伝的な要因がある場合は、予防策が難しいかもしれません。 - どのように治療すればよいですか?
治療法には、注射や手術、レーザー治療、シリコンゲルの使用などがあります。それぞれの治療法は、ケロイドの大きさや深さに応じて選択されます。 - 治療には副作用があるのでしょうか?
副作用がある場合があります。手術や注射による治療では、再発する可能性がある他、瘢痕(はんこん)ができる場合があります。レーザー治療では、腫れや赤みが残ることがあります。 - 再発を防ぐためには、何をすればよいですか?
再発を防ぐためには、傷口を清潔に保ち、傷口に適切な治療を行うことが重要です。また、治療後には、紫外線を避け、運動やマッサージを行うことで、再発を防ぐことができます。 - どの程度の時間で治るのでしょうか?
治療期間は、ケロイドの大きさや深さ、治療法によって異なります。一般的に、治療期間は数週間から数か月に及びます。ただし、治療によっては、治療後の数年間にわたって治療を継続する必要がある場合があります。 - 治療するためには、医師に何を伝える必要がありますか?
医師に過去の病歴、アレルギー、現在の薬物治療、妊娠中であるかどうかなどを伝える必要があります。これらの情報は、治療計画を立てるために必要な情報です。 - 治療には保険が適用されるのでしょうか?
保険が適用される場合と適用されない場合があります。治療が医学的に必要であると判断された場合、保険が適用される場合がありますが、美容目的での治療には適用されない場合が多いです。 - 治療にはどのくらいの費用がかかるのでしょうか?
治療法によって異なりますが、一般的に数千円から数十万円に及ぶ場合があります。治療の回数や期間、治療の種類によって費用は異なるため、治療前に医師と相談することが重要です。また、治療費用については保険が適用される場合もあるため、事前に確認することが大切です。
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