歯周病の症状を放置していると危険!歯磨き粉を使用した予防とは

歯周病

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歯周病という言葉は、テレビのCMや歯磨き粉のパッケージなど、さまざまなところで見たり聞いたりすることがあるのではないでしょうか。

歯周病は年齢が増すにつれて増加傾向にあり、20歳を越えるとどの年代にも歯茎から出血があるなど、歯茎に何らかの悩みをかかえている方が多くなるようです。

歯周病は歯を失う原因にもなることから、歯周病予防ができる歯磨き粉で予防していくことは大切な歯を守るのに有効です。

歯周病はどんな症状が起こる?

国民病とも呼ばれる歯周病は、歯と歯茎の間に繁殖する歯垢(プラーク)の細菌によって、歯の周りに炎症が起こる病気のことをいいます。

まずは、歯周病のこんなサイン出ていませんか?

  • ブラッシングすると歯から出血する
  • 歯肉の色が赤い
  • 歯肉が赤く腫れている
  • 朝起きたときに口がネバネバする
  • 口臭がある
  • 歯根が露出して歯が長く見える
  • 歯茎がむずがゆい
  • 硬いものを噛むと痛い
  • 歯肉から膿がでる
  • 歯がグラグラする

この中の1つでも症状が当てはまるものがある場合、歯周病の可能性があります。

上記のような症状があり、なんとなく歯が気になり鏡で歯と歯茎を見てみたら、自分が思っていたよりも歯根が露出していてびっくりしてしまったり、歯をさわってみたら歯がグラグラして不安になってしまうことも。

歯と歯茎の間には歯肉溝という溝(ミゾ)があり、健康な歯茎のミゾの深さは1~2mm程度ですが、このミゾにプラークがたまり細菌が繁殖すると歯肉が炎症を起こして腫れてしまいます。

炎症は自覚症状がないまま静かに進行していき、ミゾが深くなって歯周ポケットができます。

歯科医院で行われる歯周病の診断には、目盛りのついたポケット探針で歯周ポケットの深さを測定し、炎症の進み具合を確認します。

炎症が歯茎だけの場合は歯肉炎、炎症が進むと歯周炎、さらに炎症が進むと歯周炎になり、歯肉が破壊されて歯周ポケットがより深くなって歯周病となると、最終的には歯を支える骨(歯槽骨)が溶けて歯が抜け落ちてしまいます

炎症の進み具合歯周ポケットの深さ症状
健康な歯2mm以内歯茎が硬く引き締まって歯に密着している。
歯肉炎3mm以内
歯周病菌が歯と歯肉の間に入り込み、プラークや歯石がたまりはじめる。
歯周炎
(軽度)
3~5mm程度歯と歯肉の間に歯周ポケットができ、プラークや歯石がたまる。
歯周炎
(中度)
4~7mm程度歯周ポケットが深くなって、プラーク・歯石がさらにたまり、歯肉が腫れたり出血する。
歯周病
(重度)
6mm以上歯槽骨が溶け始め歯を支えられなくなって、歯がぐらつき、最終的には抜けてしまう。

歯周病の原因ってなに?

歯周病は、子供から大人までたくさんの人がかかっている可能性があります。年齢を重ねていくとだんだんと歯茎が下がったり、免疫力が低下することによって歯周病にかかりやすくなる要因が増えるため注意する必要があります。

歯周病の症状が出ている方はこれ以上進行しないように、まだ症状が出ていない方は予防するために、歯周病になってしまう原因を詳しく知っていきましょう。

原因その① 歯垢(プラーク)

歯周病の主な原因となっているのが細菌が増殖してかたまりとなっているプラークで、歯周病細菌は主に歯と歯茎の間のわずかな隙間の歯周ポケットの中に存在しており、毒素や酸素を放出することで歯周組織を破壊していきます。

プラークが増殖してしまう原因の1つに、だ液の中の糖タンパク成分が歯の表面にコーティングされた薄い膜「ペリクル」があります。

本来は歯が溶けるのを防いだり歯を強くする作用を促進させたりなど、歯を守る作用をするのですが、ここに細菌の塊であるプラークがつき、食事をすると食物中に含まれる糖分を栄養源にして増殖し、ネバネバしたプラークがどんどん形成されてしまいます。

プラークは歯に付着する細菌やその代謝物の塊で、この中には細菌が約600種類も存在しており、プラーク1mg(耳かき1杯程度)に細菌が約1~2億個存在していると言われています。

原因その② リスクファクター(危険因子)

歯周病の主な原因はプラーク(歯垢)ですが、生活習慣病の1つとも言われる歯周病には、間接的に歯周病を悪化させるリスクファクター(危険因子)が「口腔内の環境」や「生活習慣」の中に潜んでいます。

口腔内の環境

【要因① 歯石】

プラーク(歯垢)をキレイにせず放置したままにしていると、唾液に含まれるカルシウムなどが沈着することによって歯石になってしまいます。歯石の表面には細菌が多くプラークが増殖しやすいため、歯周病が悪化してしまう要因になります。

【要因② 歯並び】

歯並びが悪く歯が重なっていたりすることでキレイに歯磨きができていないと、その部分にプラークが増殖することで炎症が起こりやすくなります。

【要因③ 口呼吸】

口呼吸が癖になっている場合、口内が乾燥してしまうためプラークがつきやすくなります。また、歯茎も乾燥するため抵抗力が弱まって炎症が起きやすくなってしまいます。

【要因④ 歯ぎしり】

歯ぎしりをすると歯が削れてしまって歯の内側の象牙質のが露出してしまったり、歯周組織に横から加わる力に弱いため歯に負担がかかってしまうことで歯周病が悪化してしまいます。

生活習慣

【要因① 喫煙】

タバコに含まれているニコチンは、血管を収縮させるため歯茎の血管も収縮していしまい血行不良が起こります。
また、タバコに含まれる一酸化炭素によって歯周組織に酸素がうまく行きわたらず、歯周組織が栄養不足になり抵抗力が低下して歯周病が重症化します。

【要因② ストレス】

精神的なストレスを感じると、自律神経のバランスが崩れて体の免疫機能が低下することで、歯周病菌が活発になって口の中で増殖することで、歯が痛んだり歯茎が腫れたり出血したりします。

また、ストレスによる喫煙や食生活の変化などによって歯周病が悪化しやすくなります。毎日の歯磨きはもちろんのことですが、リラックスしてよく眠れるように工夫して、ストレスがたまらないようにすることが大切です。

【要因③ 食生活】

歯周病の原因であるプラークは、甘いもの、やわらかいものを食べると増殖させやすくなります。

また、バランスが取れていない栄養が偏った食事なども、歯周組織の抵抗力が低下する原因になり、歯周病の悪化や全身の健康にも悪影響を与えてしまいます。

歯周病は全身の疾患と関係があるの?

近年の研究によって、全身の疾患と慢性的な歯周病が、心臓病や肺炎などのさまざまな病気と関係があるということが明らかになってきました。

糖尿病

糖尿病にかかっている方は、健康な方よりも歯周病にかかるリスクが高いという調査結果が報告されており、歯周病による炎症によって生じる物質が血糖値をコントロールする「インスリン」の機能を低下させて、糖尿病を悪化させてしまうことがあります。

誤嚥性肺炎

ものを飲み込む時の障害「嚥下障害」があると、食べ物や飲み物を飲み込むときに誤って食道を通らず気管に入ってしまいそのまま肺に入ってしまうことがあります。このときに歯周病菌が食べ物や飲み物と一緒に肺に入り感染して肺炎を起こすことがあります。

冠動脈心疾患

歯周病による炎症が動脈硬化を進ませる危険性が高いことがわかってきており、歯周病菌が心臓に運ばれてしまうことによって、心臓血管疾患になる可能性があります。また、歯周病菌が脳に運ばれてしまうと脳血管疾患になる可能性が出てきます。

早期低体重児出産

歯周病にかかっている妊婦さんの血液中に入った歯周病菌が胎盤を刺激してしまうことによって、胎児の成長に影響を与えてしまい、「早産」や「低体重児出産」の危険性が高くなることがわかってきています。

歯周病を予防するにはどうしたらいいの?

年齢を重ねていっても自分の歯を多く残しておくために、歯周病を予防するためには毎日の歯磨きで、歯周病に効果がある歯磨き粉や歯ブラシを使用して正しいブラッシングをすることが必要になってきます。

歯周病の原因ともなる、歯に付着した歯垢が体に悪い影響を与えるまでには丸1日以上かかると言われています。そのため、その間に歯垢を磨き残しなく除去してキレイにすることが大切です。

しっかりと歯のすみずみまでキレイに磨くために大切なのが、自分の口の大きさに合った歯ブラシを使用してブラッシングができているかということです。

自分に合った歯ブラシを使用していなければ、しっかりと歯のすみずみまでブラッシングすることができません

では、健康で美しい歯を維持していくためにはどのような歯ブラシを選べばいいのでしょうか。

自分に合った歯ブラシの選び方

ヘッドサイズ

歯ブラシのヘッドの大きさは「自分の上の前歯2本分」位の大きさがおすすめです。

細かく磨くことが苦手だからと大きすぎるヘッドの歯ブラシを使うと、奥歯や細かい部分に毛先が入っていかず、磨き残しの原因になります。

毛のかたさ

歯ブラシの毛のかたさはには、「やわらかめ」「ふつう(レギュラー)」「かため」の3種類があります。

歯ブラシのかたさによって歯垢を落とす力が変わり、「かため」が一番歯垢を落とすことができますが、歯茎が傷ついてしまい歯茎下がりの原因にもなる可能性があるため避けた方がいいでしょう。

 

歯茎が健康な人は「ふつう(レギュラー)」を、歯茎が弱っている人は「やわらかめ」を選び、歯垢を落とす力が弱くなる分を時間をかけて丁寧に磨き、歯茎を優しくマッサージするぐらいの力で歯を磨きましょう。

持ち手の形状

持ち手の形状は、真っすぐなものやグリップがついているものなど、歯ブラシのメーカーによって違いがあります。

人によって手にフィットする形状が違うので、グーで持って強く磨いてしまいがちな人はボールペンを持つようにして磨ける真っすぐで細めのものを、しっかりと握ることができにくい人は握りやすい太めのものを選んで、歯を磨くのに余計な力がかからないものを選びましょう。

歯ブラシは毛先が開いていなくても衛生上1カ月に一度、電動歯ブラシは替えブラシを3カ月ごとに取り替えることがおすすめです。毛先が開いてしまった歯ブラシは歯垢(プラーク)を落とす力が低下して磨き残しができてしまうため、早めに取り替えるようにしましょう。

歯のすみずみまでキレイにするブラッシングの仕方

普段なんとなくしている歯磨きですが、歯医者さんが推奨するブラッシング方法によって、ポイントをしっかりと押さえて歯磨きをすることで汚れを除去して歯が白くなります。

しかし、磨き残しが多くなってしまう方のブラッシングは、磨きやすいところだけ磨いて、奥の方の磨きにくいところは適当に磨いてしまっています。

ブラッシングをする位置があちこち飛んでしまわないように、磨く順番を決めて1本1本を優しくブラッシングするのがおすすめです。

正しいブラッシングの方法

スクラビング法

歯の外面に歯ブラシの毛先を90度の角度であてて、歯ブラシの毛先が広がらない程度に優しく、左右に小刻みにブラッシングします。
奥歯の裏側や嚙み合わせ面の歯垢(プラーク)の除去に適しています。

バス法

歯と歯茎の境目に45度の角度で歯ブラシの毛先を当て、歯ブラシの毛先が広がらない程度に優しく、左右に小刻みにブラッシングします。
歯周ポケットの汚れをかき出す磨き方で、歯垢(プラーク)の除去と歯茎のマッサージ効果があります。

おすすめのブラッシング方法は

スクラビング法(3分)+バス法(2分)を組み合わせる

市販の歯みがき粉に配合されている、歯肉炎・歯周炎予防の薬用成分を配合した医薬部外品の歯みがき粉を使用することで、細菌の増殖を抑えたり、歯ぐきの炎症を鎮めたり、歯質を強化して、より効果的に歯周病の進行を予防することができます。

歯みがき粉の中には歯石ができにくくなったり、歯ぐきの血流をよくする成分などが配合されているものもあるので、磨き残しのない正しい歯磨きの仕方と一緒に予防していきましょう。

歯科医院でクリーニングをしてもらう

ブラッシングをしっかりとしているつもりでも、口の中は狭く見えにくいため、歯の裏、歯が重なっている部分、奥歯などには歯ブラシが届きにくく磨き残しができてしまいます。

磨き残しによって歯垢が固まって歯石になってしまったり、歯の表面についてしまった黄ばみや着色汚れは、歯科医院で歯石を落とすための機械、スケーラーと呼ばれている歯科器具でキレイにしてもらいましょう。

3ヶ月~半年に1度と定期的に歯科医院にいって歯のメンテナンスをすることで、歯周病の予防をすることができます。

歯周病についてのまとめ

歯周病は、軽い歯肉炎から進行した状態の歯周炎までゆっくりと進行していきます。

軽い歯肉炎ならば歯磨きの仕方を見直すことで改善していくことができますが、歯周炎の場合には歯科医院での治療が必要になってきます。

歯周病の予防や早期の治療は全身の健康のためにも大切なことです。

歯周病は全身の疾患と関係がありますが、しっかりと歯周病を治療することで病気が改善されることがわかってきています。上記に載せてあるチェック項目にひっかかった方は早めの受診をおすすめします。